農業には「苗半作(なえはんさく)」
という言葉があります。
苗を作った時点で
その農産物の出来が半分決まってしまう
という意味になります。
人によっては「苗八作」という方もいるほどです!
それほど農業にとって苗づくりは
重要な工程になるのです。
野菜など、一年以内で
植え付けから収穫までを終える作物では
苗の出来はダイレクトに結果に出るでしょう。
私は野菜だけでなく
果樹やお茶にもこの言葉が
当てはまると思っています。
果樹やお茶は苗を植えてから数年間の間は
体が小さいため収量がどうしても少なくなります。
質が良くない苗木ならば
よけいに収量も少なくなりますし
大人になるまでの時間もかかります。
苗の影響力は大きい
10年ほど前から茶の樹を植え替える
改植(かいしょく)という作業を
数年おきに行っています。
お茶の樹は半世紀近く、植え替えないこともあるため
改植を行うときは必ず手伝ってきました。
めったに行わない改植ですが
お茶の苗木のタイプを一度だけ
違うものにしたことがあります。
現在、お茶の苗木は
大きく二つのタイプがあります。
1つは素掘り苗というタイプ。
もう1つはポット苗です。
まずポット苗ですが
このタイプはホームセンターなどで販売している
野菜や花の苗のようにポットに植えられています。
一方、素掘り苗は
土から掘り起こした状態なため
土に植えられているタイプではありません。
ただし根が乾燥しないような対応はしてあります。
(根にとって乾燥は大敵なので)
ちなみに苗木の大きさは、素掘り苗の方が大きいです。
両方とも植えたことがあるのですが
岡埜谷農園では、改植の際に植え付けるのは
素掘り苗がほとんどです。
なぜ一度だけポット苗にしたかというと
「植えてからの成長が早い」
と勧められたからそうです。
しかし実際に植え付けてみると
成長に時間がかかることがよく分かりました。
素掘り苗と比較すると、一年から二年ほど
余分に時間が必要となった感じです…。
この一件で改植でポット苗を植えることは
全くなくなりました。
ただし
土地柄や植え方によって
成長は大きく異なってくるので
一概に「ポット苗は成長が遅い」と
言い切ることはしません。
また素掘り苗でも
根の量や幹の太さの違いで
ほんの少しだけ成長スピードが異なります。
同じ品種の苗なのに
苗の状態によってその後の生育は
大きく変化してくるので
その影響力は大きなものとなります。
改植の作業は今後行うかもしれないので
その時に投稿をしたいと思っています。