日々お茶暮らし  茶農家のブログ

川根地域でお茶づくりをしている農家のブログです

静岡県 お茶にまつわる都市伝説 学校編

現在、お茶の生産量日本一を誇る静岡県。お茶づくりは主な産業の一つであり、お茶の持つ影響力はとても強いです(^^;)

 

他県の方から見れば「ホントに?」「ウソでしょ?」と思うような、お茶にまつわる都市伝説?のようなものを、今回は投稿していきたいと思います。

 

お茶の出る蛇口⁉

学校にある”流し台”といえば教室の外、長い廊下の途中にあるものだと思います。いざ給食になれば、手洗いのために生徒が殺到し大渋滞…。グランドから帰ってきた時に手を洗ったり、掃除の時間には水を汲んだりと、一日に何度も利用した場所でした。

 

そして、そんな”流し台”には、銀色の水の出る蛇口がいくつか付いていますね!

 

しかし静岡県には、水ではなく、何とお茶が出てくる蛇口があるのです!

ちなみに、観光施設ではなく、駅や空港でもなく、あくまでも学校(小学校など)の設備としてです。

 

蛇口から出てくるお茶は、もちろん飲むことができますし、『お茶うがい』といってお茶でうがいをする時に使用されているそうです!

 

ただし、全ての学校で「お茶の出る蛇口」があるわけではありません…。実際、私の通っていた学校にはありませんでした(-_-;)

 

県内では、極たまに学校の「お茶の出る蛇口」が地方ニュースになることがあるので、県内での認知度はとても高いですが、実際はそれほど多く導入されている設備ではありません。

 

給食当番『お茶係』

学校の楽しみの1つと言えば「給食」

余った分のデザートをめぐってのじゃんけん対決やソフト麺、カレーライスなどの人気メニュー…給食にまつわる思い出はたくさんあるのではないでしょうか?

 

そして、給食の時間になるたびに行うのが「給食当番」による配膳。授業が終わったら急いで白衣を着て、マスクをつけ、給食の入ったトレーや鍋、食器などを運び配膳を行ったものです…。

 

当番制で、担当の期間と物を決められ、運んだり配膳を行ったりしますが、静岡県には『お茶係』なるものがあります!

 

では『お茶係』はいったい何をするのか?というと、お茶がたっぷり入った大きな”やかん”を教室へと運んでいくのがお仕事です!

 

給食の飲み物と言えば『牛乳』がありますが、「お茶が出る代わりに牛乳はない」という訳ではありません。もちろん牛乳はありますし、それとは別に飲み物として「お茶」があるのです!

 

社会見学はお茶工場⁉

小学生も高学年くらいになると、社会見学でスーパーなどのお店や市役所や消防署などに、行くことがあったと思います。

 

静岡県では、大きな茶産地が県内のあちらこちらにあることから、特に大規模な産地にある学校では、社会見学として『お茶工場』へ行くことが、ごく普通です!

 

私は、実際にお茶を製造している期間中に、そして機械も動いている状態の中で、生産者の方の話を聞いたり機械を見たりしました(^^)/

 

そして、お茶を揉む機械の名前や順番、お茶の種類(煎茶や玉露、番茶など)も、なんと小学生で覚えてしまい、言えるようになります!

 

文化発表会などでは、お茶のことに関して発表を行うことも多かったですね…。

 

お茶摘み体験、お茶の淹れ方教室

お茶に関する授業はまだまだありました。

 

お茶の芽が伸びる季節であれば、学校のあるいは学校の近くの農家さんの畑に行き、お茶摘みの体験…。

 

友達同士でワイワイ楽しみながら、『一心二葉(いっしんによう)』という摘み方で、どんどん摘んでいきます!

 

摘んだ葉っぱは、それぞれ家に持ち帰って天ぷらなどにして貰ったり、集めてお茶に加工してもらったりと色々で利用します。

 

静岡県内にはお茶摘み体験ができる施設がいくつかありますが、その数百円から千円ほどを支払って行うお茶摘み体験を、授業の一環として小学生が行うことも多いです!

 

そして、お茶摘みのほかに『お茶の淹れ方』を勉強することも…。お茶屋さんや生産者の方が学校に来て先生となり、お茶の淹れ方を一から教えていく授業があるのです!

 

茶葉を何グラム急須に入れ、湯呑にお湯を入れて湯冷まし。急須にお湯を注いだら時間を計って、きちんと淹れていく…。

 

そのような、お茶の基本的な淹れ方を一からじっくりと行っていきます。

 

そして、普段飲む煎茶だけではなく、高級な玉露の淹れ方であったり、玄米茶や番茶など、いろんな種類のお茶も淹れたり、飲んだりしていくのです!

 

なかには、煎茶や玉露、玄米茶など、お茶の名前を伏せた状態で、飲むだけでそのお茶の種類を当てることができる、そんな小学生もいるほどです(゚д゚)!

 

ちなみに、飲んでお茶の種類を当てるのは大人でも難しいです!

 

修学旅行はお茶の宣伝と共に⁉

学校の集大成となる、一大イベントと言えば修学旅行!!しかし、そんな修学旅行ですらお茶の影響力から逃れることはできません(>_<)

 

全ての学校で行われている訳ではないのですが、有名な茶産地にある学校の一部では、修学旅行の際にお茶の一煎パックを持って行き、出会った人やお世話になった人にプレゼントする、そのような活動をしている学校もあります!

 

修学旅行前になると、お茶屋さんやJAなどから一煎分のお茶が入ったパック(一煎パック)が学生に手渡され、学生はそれを持って修学旅行に行き、旅行先で宣伝活動をしてくる、このような流れで取り組まれています。

 

修学旅行シーズンになると、一煎パックの受け渡しの様子などが、テレビや新聞で取り上げられることが多くなり、地域やJAの広報誌では毎年必ず受け渡しの記事を見ます!

 

伝説のお茶摘み休み!?

最後に紹介するのが、お茶産地ならでは、そして最大の都市伝説とされている『お茶休み・お茶摘み休み』です。

 

文字通り、「お茶休み・お茶摘み休み」はお茶を摘んだりするために学校が休みになるものです!中高年の方からは、たまに「お茶で学校が休みになった」と話を聞くことがあります!

 

では、実際はどうなのかというと「お茶休み・お茶摘み休み」は現在では無いと思われます!

 

私が通っていた学校では、そのようなお休みはなかったですし、休みになっている学校があると話を聞いたこともありません!

 

ただし、あくまでも『現在では無い』だけで、実は昔はあったのです(゚д゚)!

 

私の父はすでに60歳を超えているのですが、小学校に通っていた頃はお茶摘みの時期なると、本当に学校が休みになったそうです。

 

お茶の収穫には人手がとにかく必要!そして、お金をお茶の生産から得ていたことから、お茶の収穫作業であるお茶摘みは、とにかく重要です。

 

特にお茶の産地では、ほとんどの生徒がお茶農家の子どもであったり、親戚がお茶農家ということで、一家総出で親戚もまき込み、人も雇い、お茶を摘んでいました。

 

そのため、学校も休みになり、家の手伝いに参加できるようになっていたそうです。

 

しかし、それから月日が経ち、現在では収穫作業の機械化が進み、広い面積でも少人数で行うことができるようになりました。

 

そのため、今では『お茶休み』は必要なくなったのでしょう…。