日々お茶暮らし  茶農家のブログ

川根地域でお茶づくりをしている農家のブログです

一番茶収穫までの作業

一番茶(新茶)を収穫するまでは、どのような作業を行うのか…?

 

一番茶シーズン突入直前の上河内地区での作業を例に、一番茶を収穫するまでに行う代表的な作業を、まとめて紹介したいと思います(^^)/

 

 

昨年7~8月 「ナラシ」「土壌改良」「防除」

今年の春に収穫を行う一番茶(新茶)

そこへ向けての作業は、1年前の7月・8月まで遡ります!!

 

上河内地区では、5月に収穫する『一番茶(新茶)』と6月下旬頃に収穫をする『二番茶』を作っています。そのため、二番茶の収穫後は、来年の一番茶づくりがスタートするのです(^^)/

 

二番茶を収穫した後は『ナラシ/整枝』と言って、お茶の樹の表面をキレイに整える作業を行います。

バリカンのような専用の機械を使用して、表面をキレイに整え、芽が均一に伸びるようにするのです。

 

 

二番茶の収穫後に伸びてきた芽、この芽のことを『三番茶芽』というのですが、この芽は翌年の一番茶に大きな影響を与えます。

 

一番茶は、この夏に伸びる三番茶芽を基にして育ち、栄養も三番茶芽が作った栄養を使います。

そのため、この『三番茶芽』をしっかりと守ることが、大切です!

 

上河内地区は、良いお茶が育つ条件である『霧』が発生しやすい地域です。また、静岡県は夏の間は雨が降りやすい地域なので、降水量も多いです。

 

雨が多くなったり、湿度が高い環境では「カビ」が発生しやすいですね…(^^;)

 

植物の病気は「カビ」を原因とするものがほとんどです。そのため、お茶の樹が病気になりやすい環境だと言えます…。

 

病気になってしまうと、お茶の樹には大きなダメージが…(-_-)

翌年の一番茶に影響することもありますし、場合によっては樹が衰弱してしまう事もあります。

 

そこで、必要最低限の農薬(環境や人に対して安全な、安全性が高い農薬のみ)を使用して、病気や害虫からお茶の樹を守ってあげます!

 

 

他にも、この時期には、酸性に傾いた土を調整するため、植物の生長に必要な微量要素を補給するために、『苦土石灰』を施す作業も行います。

 

 

昨年9月~10月 「秋肥」「秋のナラシ」

気温が下がり始めると、お茶の樹の生長は少しずつゆっくりに…。

冬に向けて、休眠の準備が始まります。

 

この時期に行う主な作業。

まずは「秋肥」です。

 

秋”に施す”肥料”ということで、「秋肥」と呼んでいます。

秋肥は、有機質肥料を主体とした肥料を使用しています。秋から冬、そして翌年の春にかけて、長い期間に亘って吸収される肥料です。

 

お茶の樹の生長にとっては重要で、翌年の新芽(一番茶)を伸ばす時の養分としても、使われる肥料…。

使用する肥料選びやあげる時期は、しっかりと考えながら行っています。

 

 

そして、翌年の一番茶に大きな影響を与える作業が「秋のナラシ」です。

 

夏の間に伸ばした「三番茶芽」を刈り落とし、お茶の樹の表面を整えます。

(上刈り落とし前、下刈り落とし後)

 

キレイに整えることで、翌年の春、均一にお茶の芽が生長するのです。

この作業を早く行うと、翌年新芽が芽吹く時期が早くなり、遅くすると芽吹くのも遅くなります。

 

芽吹く時期が早すぎると霜や寒さの影響を受けてしまうので、毎年天気予報を色々調べながら行います(^^;)

 

 

ちなみに刈り落としたお茶の芽や葉っぱは、樹と樹の間(畝間)に落としています。

少し時間がかかりますが、微生物などが分解し、フカフカの土へと変化するのです。

 

 

昨年11月~本年1月

11月から1月の間は、主要な作業はありません。

お茶農家にとっては、余裕ができる時期となります。

 

冬の間は、お茶の芽は休眠状態。

芽は伸びてきませんし、根っこを伸ばすのも停止しています。

 

寒さ厳しい冬ですが、この寒さがなければ、お茶の芽は一斉に芽吹きません。

4月・5月になり、一斉にお茶の芽が伸びて来るのは、冬の寒さがあるからこそなのです!

 

2月~3月 「化粧刈り」「春肥①・②」「芽出し肥」「防除」

2月から3月にかけて行う作業は、肥料を施すのが主になります。

 

春にあげる肥料の事を「春肥」と言い、有機質肥料が主体な物を使用しています。

春肥は、一番茶だけでなく、二番茶の生長。その後の三番茶の生長にも影響するので、長く続く効果があり、土づくりにも良い有機質をメインにしているのです!

 

 

逆に「芽出し肥」は、一番茶の芽が芽吹く直前から小さい時に施します。

芽を生長させるときには、たくさんの養分を使うため、お茶の樹は疲弊してしまいます。

 

そこで、芽の生長を手助けし、疲弊したお茶の樹が回復できるように、早く効果が出る化学肥料主体の肥料を使用するのです(^^)/

 

また、有機質肥料では補給できない、微量要素を補給する目的もあります。

 

 

他には、冬の間に強い風が吹き付け、乱れてしまったお茶の樹の表面を、再びキレイにする「化粧刈り

 

そして、病気から守ることと、肥料だけでは不足してしまう微量要素を補給するために「ボルドー」を散布します。最も歴史がある農薬で、極めて安全性が高いものです。

おかのや農園では、有機栽培でも使用ができるボルドー剤を使用しています。

 

ちなみに、ボルドー剤の散布はお茶の芽が芽吹く前!

安全性が高い農薬ですが、収穫する芽には一切付着させないように、細心の注意を払い作業をしています(^^)/

 

 

4月 「茶工場準備」「収穫準備」

4月になると、いよいよお茶の芽が生長していきます。

この時期になると、一番茶(新茶)を作る準備が主な作業となります。

 

まずは、お茶を揉む工場の掃除…。

お茶は食品なので、ゴミが混入したりしないように、徹底的にキレイにしていきます。

 

茶畑でも、強い風で飛ばされてきた枯草や枯れ葉、伸びてきた草を取り除きます。

 

 

一番茶は努力が報われるシーズン!

一番茶は約1年に亘る作業が報われるシーズン。

 

一番茶シーズンはとても忙しく、大変なのですが、無事に収穫が行えることが、とても嬉しいのです(^^♪

 

 

今年も無事に収穫を迎えられそうなことに感謝するとともに、良いお茶を作りお届けできるように、「頑張っていこう」と改めて決意…!

 

天気がどうなるか分かりませんが、明日から約10日間の一番茶シーズン…。

毎日、楽しみながら頑張っていきます(^^)/