お茶の樹は毎年収穫を繰り返すことで、少しずつ樹の高さが高くなり、枝も細く混み合った樹になってしまいます。
すると作業が行いにくくなるだけでなく、細い枝から伸びた芽は、弱々しくほっそりとした芽となってしまうのです。このような芽では、良いお茶を作ることが出来ません(>_<)
そこで、作業を行いやすくするため、品質の良いお茶を作るために、お茶の樹の枝を更新(リセット)する作業を行います。これらの作業は、枝を刈ったり切ったりする高さで名前が変わります。
今回は、お茶の樹の断面を元に、お茶の樹の更新作業について投稿します。
4つの更新方法
お茶の樹の更新方法は、全部で4つあります。
そのどれもが、お茶の樹を大胆にカットするものなのですが、作業の名前は刈る高さで変わるのです。
刈る深さが浅い順に
「浅刈り」
「深刈り」
「中切り」
「台切り」
この4つが、お茶の樹の更新方法になります。
では、1つずつ説明していきます。
葉っぱを残して刈る浅刈り
最も枝を浅く刈る更新方法が『浅刈り』
お茶の樹は約10㎝の葉っぱの層をもっているのですが、この葉っぱの層を5㎝ほどカットするのが浅刈りになります。
図では、①の赤いラインになります。
お茶の樹の表面部分、最も枝の細い所を刈り落とす方法で、一番茶の収穫後や二番茶の収穫後に行います。
僅かですが葉っぱが残るので、枝を刈り落とした後、新しい芽が出てくるのも早いです。
川根町上河内地区では、二番茶の収穫後に「浅刈り」を行っています!
浅刈りを行い枝を新しい物にリセットすることで、翌年の一番茶(新茶)の品質が良くなるのです(^^♪
また、病気の予防にもなり、最も行う頻度の高い作業になります。
葉っぱは全てカット「深刈り」
浅刈りよりも深い位置で枝をカットするのが『深刈り』です。
葉っぱがある部分は全て刈り落とすことになるので、作業後の畑は枝が丸見えに…。もちろん、葉っぱが付いていない状態になるので、緑色の茶畑は茶色に見えるようになります。
図では、②の赤いラインになります。
この作業は、主に一番茶の収穫後に…。暖かい地域では、二番茶後にも行われることもあります。
作業後は葉っぱが残っていないので、新しい芽が出てくるまでには1か月以上の時間がかかります。
5・6年に一度実施「中切り」
深刈りの次に深い位置で枝をカットするのが『中切り』
この作業は、5年から6年に1回のペースで行う作業になります。
細くなった枝を大胆にカットする作業で、一番茶の収穫後に行うことが多いです。
図では、③の赤いラインになります。
大体、お茶の樹を1/2ほどの高さになるまで、枝をカットするのです。
こちらも枝を刈り落としてから新しい芽が伸びて来るまでには、1カ月ほどの時間が必要になります。
中切りは5年から6年のサイクルで行う作業です。
毎年どの畑で行うのかを決め、計画的に行う必要があります。
作業の詳しい内容はこちらをご覧ください。
根元付近でカット「台切り」
4つの更新方法の中で、最も深い位置で枝を刈るのが『台切り』です。
この作業は、滅多に行うことがありません。
図では、④のラインとなります。
根元付近で枝を切るので、カマボコ型のお茶の樹の姿に戻るまで2年ほどの時間がかかります。時間がかかりますが、根元から新しい枝に更新できるため、お茶の樹の若返りをすることが出来るのです。
実は台切りは「切る」という漢字が使用されていますが、作業の光景を見ると枝は切られているのではなく、粉々に粉砕されているのです!
枝葉シュレッダーを大型化したような機械で、砕かれていきます。そのため「台切り」ではなく「粉砕」と呼ぶ人もいます。
この作業は、行う農家と行わない農家がありますが、行わない農家の方が圧倒的に多いでしょう。
「台切りをするよりも、お茶の樹を新しく植え替えた方が良い」
という指導もあるので、行われることがあまりない作業です。
浅刈り~中切りがメイン
お茶の樹の更新方法は浅刈りから中切りがメインになります。
どのようなお茶を作りたいのか…。
目標とするお茶の樹の姿、お茶の芽の品質を達成するために、お茶の樹の様子を観ながら計画的に作業を進めています。