日々お茶暮らし  茶農家のブログ

川根地域でお茶づくりをしている農家のブログです

夏の一大作業 『苦土石灰』について

どんな作物を育てている農家であっても、家庭菜園で育てている場合であっても、必ず利用すると言っていいほど使われることがあるのが『苦土石灰』です。

 

苦土石灰の役割は主に2つ

・土の酸度を調整(酸性から中性に…)

・微量要素の補給

となります。

 

作物を育てていると、雨や肥料の影響などでどうしても土は酸性に傾いてしまいます。

また、健康的に作物が育つには土の栄養バランスが重要です。微量要素は少ない量しか利用されない養分なのですが、不足すると葉っぱの色が悪くなったり、生長に悪影響が出てしまいます。

 

そのため、野菜や果樹…どんな作物であっても、苦土石灰はほぼ必ず利用するのです。

 

 

苦土石灰というジャンル

苦土石灰は、農作物にあげる肥料と同じように、ビニールの袋に入れられ販売されています。

また、販売スペースも肥料のコーナーと同じですね…。

 

そのため、肥料の一種のような感じもしますが、私は肥料と苦土石灰は少しジャンルが違うと思っています。

 

 

肥料の目的は作物が順調に育つための栄養補給となりますが、苦土石灰の場合は土の酸度調整が主な目的となります。

※微量要素は補給しますが、メインの肥料成分(窒素・リン酸・カリ)は含まれていません。

 

また使用時の注意点も肥料とは少し違っているため、有機肥料や化成肥料と同じような感覚での使用はNGです!

 

 

お茶の場合は夏時期に…!

苦土石灰は、土に施す時期も重要です。

野菜の場合は苗や種を植える前にまくことが基本ですが、数十年単位で育てるお茶の場合は夏(ちょうど今の時期)にまきます。

 

肥料をまく時と同じく、軽トラックに肥料とまくための道具類を積んで茶畑へ…。

 

この袋1つに20㎏の苦土石灰が入っています。

 

苦土石灰は粉状の物が多いのですが、使用しているのは粒に丸めてある物です。

粉状ですと、風やまく時の衝撃で簡単に細かい粉が舞ってしまいます。

 

粒状に加工することで少し値段が高い物になってしまいますが、取り扱いやすさは全く違います(^^)/

粉が風で舞うことも少なく、量の調整もしやすいので、たくさん苦土石灰をまく時には粒状の物がおススメです。

 

ちなみに、苦土石灰にも独特の匂いがあります。

身近な物に例えると「学校の黒板のチョークの粉」「黒板ケシを叩いた時に出る煙」「ライン引きの粉」の様な匂いです。

 

本当に独特な匂いなので、苦手に感じる方も多いかもしれません…。

 

 

土と混ぜるのがポイント!

苦土石灰は、ただ土の上にまくだけでは効果が得られません。

これはお茶の栽培に限らず、野菜類の栽培にも当てはまるのですが、苦土石灰は土とよく混ぜることが重要となります。

 

土と混ぜることで、苦土石灰により土の酸度が改善されるため、苦土石灰をまく事と土を耕すこと(土と苦土石灰を混ぜる)ワンセットです。

 

 

土を最適な状態に…

苦土石灰をまく目的の1つとして「土の酸度を調整する」と言いましたが、作物はその種類ごとに育ちやすい土の酸度があります。

 

なんとなく中性(㏗7)が一番良いような気もしますが、実は弱酸性(㏗5~6)を好む野菜や果物はかなり多くあります。

 

さらに一部の作物は酸性(㏗4~5)を好むものもあります。

酸性を好む作物として挙げられるのが「ブルーベリー」

そして「お茶」も酸性の土を好むのです!

 

お茶に苦土石灰を施す時は、土の酸度が㏗5くらいになるように調節してあげます。

作物ごとに好きな土の酸度があるので、それに合わせて調節してあげることが何よりも重要なのです!

 

まとまった量の苦土石灰をまくのは、1年で今回だけ!

今後1年間の土の状態に左右するため、失敗は出来ません(>_<)

 

そのため、土やお茶の状態をよく観察しながら行っています。