新茶が出回り始めるのは4月から…。
茶産地では地域全体が活気付きますし、お茶屋さんには「新茶」などと書かれた幟が立つこともありますね!
そのため、お茶の旬といえば4月や5月頃を思い浮かべる方も多いと思います…。もちろん、新茶は魅力がたっぷりで確かに美味しいです。また香りも最高ですね(^^♪
しかし、お茶の旬は新茶シーズンだけではないのです!
今回は、お茶のもう1つの旬…冬の後熟したお茶について投稿したいと思います。
お茶の第一の旬
新茶のことを『一番茶:いちばんちゃ』とも言うのですが、これは1年で一番最初の収穫期に収穫・製造されたお茶のことです。
以降、2度目の収穫期は二番茶となっていき、お茶の収穫を年4回、5回と行う地域もあります。
ちなみに静岡県では年3回が一般的です。
しかし、おかのや農園のある川根町上河内地区では、品質を維持するために、年2回の収穫に抑えています!
1年に何回か収穫が行えるお茶ですが、一番茶・新茶が最も品質が高く、栄養価も高いとされています。
最も高値で取引されるお茶のシーズンでもあるため、静岡県のお茶農家にとっては経営の頼みの綱でもあります!
また、急須で淹れる品質の良い茶葉は一番茶・新茶が使用されるのが一般的です(^^)/
八十八夜(5月2日か5月1日)のお茶は縁起物とされていますし、4月5月がお茶の旬であることは間違いなしでしょう!
香りがよく、うま味・渋味・苦味…。それぞれの味をしっかりと楽しめるお茶のシーズンです。
お茶の第二の旬
お茶の第二の旬は、一番茶・新茶を一夏越させた冬からになります。
具体的には12月頃…。年末年始を過ぎるとベストシーズンになります!!
お茶を冷蔵庫や冷暗所などで保管すると、苦味や渋味がほのかに弱くなり、調和のとれた穏やかな味わいに変化するのです(^^♪
お茶を保管することで、美味しく変化することを『後熟:こうじゅく』と言います。逆に、不味くなってしまうのは『変質:へんしつ』や『劣化』となりますね。
一番茶・新茶シーズンから夏にかけて飲むお茶は、それぞれの味がしっかりとしたお茶…。
一方で後熟したお茶は、全体的に味が整うような印象を受けます。
ちなみに同じ日に収穫・製造したお茶であっても、新茶~夏に飲む味と冬に飲む味は違ってきます。
何か特別な製法を取るわけでもなく、特別なお茶が必要なわけでもありません。品質の良い一番茶を正しく保管することで、後熟した味が楽しめるのです。
私個人は、後熟したお茶の方が好みです(^^)/
毎年、冬が深まる頃になると「お茶が美味しくなった」と感じます。
後熟するお茶の特徴
お茶を正しく保管することで、後熟しまろやかな味に変化することがありますが、全てのお茶が後熟するわけではありません。
まずは、後熟の変化が大きいお茶…後熟してより美味しくなるお茶は、お茶を加工する時の蒸し時間が短い物になります。
具体的は「普通蒸し煎茶」「玉露」「碾茶(抹茶の原料となるお茶)」です。
蒸し時間が短いお茶は茶葉がしっかりしている物が多く、保管しても劣化しにくい特徴があります。
また、一番茶・新茶シーズンにはしっかりとした味わいなので、後熟の変化をしっかりと感じることも可能です。
ただしこれらのお茶であっても、あまり品質の良くない茶葉では美味しく後熟しません!
品質がしっかりとしているお茶でしか楽しめない変化なのです(^^)/
また淹れた時に緑色の濃い色となるお茶は「深蒸し煎茶」となります。
現在「煎茶」といった場合、このお茶を指すことが多いですね。煎茶の生産量も、深蒸し煎茶の方が多くなっています。
深蒸し煎茶は、茶葉が細かい特徴があり劣化しやすいです。
また蒸し時間を長くする製法により、もともとまろやかな茶葉になる特徴があります。
そのため、後熟させるお茶としてはあまり適していません!
もともとまろやかな味わいが特徴のお茶なので、劣化しないうちに飲むのが適しています。
まとめ
品質の良い「普通蒸し煎茶」や「玉露」を冷蔵庫や冷暗所で正しく保管すると、まろやかで穏やかな味わいに変化します。この良い変化のことを『後熟』と言い、冬はお茶が後熟し終わり、美味しさが増す時期です。
ただし、品質の低いお茶では美味しく後熟することは無いので、注意が必要ですね!
また、深蒸し煎茶はもともとまろやかな味が特徴なので、後熟にはあまり適していません。
お茶の後熟を楽しむためには、蒸し時間の短い品質の高いお茶がおススメです。
冬の寒い時期は、温かいお茶が美味しい季節…。
ただ、気温だけでなく茶葉自体も美味しく変化する季節なのです。
そのため、新茶シーズンである4月5月に次ぐ、もう1つのお茶の旬ではないかと思っています(^^)/
気温的にも茶葉的にも、よりお茶を美味しいと感じるこれからの季節…。
急須でお茶を淹れて、心を安らげるリラックスできるひと時や一家団欒のひと時を楽しんでください。