2020年新茶へ向けた話…
2日目となる今日は『煎茶』について投稿させて頂きます!
多様な日本茶
「日本茶」あるいは「お茶」と言えばどのような物を思い浮かべますか?
近年スイーツなどで人気となっている「抹茶」
香ばしい香りが特徴の「ほうじ茶」
うま味の強い高級なお茶「玉露」などなど…。
ペットボトルのお茶…という方もいらっしゃるでしょうね(^^;)
本当にたくさんの種類のお茶があるので、思い浮かべたお茶は人それぞれではないでしょうか!
日本では、お茶の樹の栽培方法や加工方法で多様なお茶が作られています。
たとえ同じ品種・同じ製法であったとしても、栽培している地域が違えば味や香りも変化します。
栽培方法が違えば、さらに味わいは変わりますね。
多様なお茶がある中で今回紹介するのは『煎茶』になります。
『煎茶』は日本茶の中で最もポピュラーな物になるでしょう…。
煎茶は2種類
日本茶の中で最もポピュラーなお茶は『煎茶』ですが、『煎茶』はさらに2種類に…
『普通蒸し煎茶(普通煎茶)』
『深蒸し煎茶』
に分けることが出来ます(^^♪
ちなみに『普通蒸し煎茶』のことを「浅蒸し茶」と呼ぶこともあります。
基本的には普通蒸し煎茶=浅蒸し茶と思ってください。
『普通蒸し煎茶』も『深蒸し煎茶』も同じ茶葉を使用して作られますし、加工に使用する機械や工程も目立った違いはありません!
両者の違いは生葉を蒸す時間になるのです(^^)/
『普通蒸し煎茶』は昔ながらの標準的な蒸し時間で作られることから”普通”と名付けられています!
(大体30秒程度蒸します)
対して『深蒸し煎茶』は普通蒸し煎茶の2~3倍ほどの時間をかけて蒸すお茶に…。
(60秒以上)
普通蒸し煎茶と比較して長く、深く蒸すことから”深蒸し”という名前が付いています。
緑色のお茶は『深蒸し煎茶』
お茶の色はどのような色をしているでしょうか…?
茶葉は緑色をしていますし、茶畑も緑色ですね!
そのため「緑」と答える方が多いと思います。
では、飲むお茶はどうでしょうか…?
もし濃い緑色のお茶を飲んでいるとしたら、そのお茶はほぼ『深蒸し煎茶』になります!
『深蒸し煎茶』は蒸し時間が長いことから、茶葉が細かくなる特徴があります。
そのため、細かな粉がお茶の中に入るため、濃い緑色になるのが特徴です(^^♪
対して『普通蒸し煎茶』は緑色…というよりも、金色・黄色っぽい色をしていますね!
粉などがお茶の中にあまり含まれないため、澄んだ色合いのお茶になります。
深蒸し煎茶では湯呑の底が見えなくなりますが、普通蒸し煎茶は湯呑の底が見えるお茶になります(^^)/
香り豊かな『普通蒸し煎茶』
お茶のポイントの1つは『香り』でしょう!
香りをより強く感じるのは『普通蒸し煎茶』になります(^^)/
『普通蒸し煎茶』も『深蒸し煎茶』も収穫した生葉を蒸して作るのですが、生葉を蒸す時間が長いほど、お茶本来の香りが飛んでしまう性質があるのです…。
そのため、お茶本来の香りは『普通蒸し煎茶』の方が豊かになりますね!
『普通蒸し煎茶』は爽やかで、清々しさを感じる香りを楽しむことが出来ます。
ちなみにお茶を飲む際に
「香ばしい香り」
を感じることがあると思いますが、これは茶葉の仕上げ加工の際に産まれる物になります。
茶葉に熱を加えると香ばしさを感じるお茶となりますが、この香りはお茶本来の香りではありません!
味の調節が色々出来る『普通蒸し煎茶』
誰でも同じ味に出来る『深蒸し煎茶』
『深蒸し煎茶』は生葉を長時間蒸すことで苦味・渋味を抑えることが出来ています。
深蒸し煎茶が生まれたとされるのは、静岡県の牧之原台地周辺…。
平地のお茶は、肉厚な葉に育つ一方で少し苦味・渋味が強くなってしまうため、その問題を解決するために『深蒸し煎茶』が生まれたとされています。
『深蒸し煎茶』は苦味・渋味が比較的穏やかで、誰でも同じ味に淹れやすいお茶になるのです(^^)/
対して『普通蒸し煎茶』は蒸し時間が短いため、苦味・渋味も残ります。
ただし、淹れ方次第でうま味を強く感じるお茶にすることも出来ますし、苦味・渋味を抑えることも可能です。
逆に、苦味・渋味を効かせた味にすることも出来るため、同じ茶葉でも様々な味を楽しめるお茶になります(^^♪
同じ茶葉・同じ急須でも、お湯の温度や抽出時間を少し変えることで、人それぞれの好みの味に入れることが出来るのです!
ちなみに
『深蒸し煎茶』は濃い緑色になるため味が濃くなる…
『普通蒸し煎茶』は色が薄いので味も薄い…
というイメージを持つ方もいるかもしれませんが、そのような事はありません!
普通蒸し煎茶は色が薄いですが、味や香りは見た目以上にしっかりとしています(^^)/
静岡県は『深蒸し煎茶』が主流?
ちなみにお茶の生産量日本一(2019年は辛うじて)を誇る静岡県では、『深蒸し煎茶』の方が生産量が多いです。
見渡す限り茶畑が広がる”牧之原台地”は深蒸し煎茶の産地ですし、掛川・菊川も深蒸し煎茶で有名な地域になりますね(^^)/
川根地域も昔は普通蒸し煎茶が主流でしたが、近年は深蒸し煎茶の生産も多くなっているように感じます。
現在静岡県内で『普通蒸し煎茶』が盛んに作られているのは「川根」「天竜」「森」「本山」などの地域です。
これらの地域は山間部である…という共通点があります。
山間部のお茶は、柔らかく繊細な芽に育つ特徴があります。
香りも豊かなので、普通蒸しにするのが適しているお茶なのです。また葉が繊細なので、深蒸しにしてしまうと茶葉が砕けてしまうこともあります。
対して牧之原台地などは、お日さまの光がたっぷりと降り注ぎ、肉厚でしっかりとした葉に育ちます。
これらの葉は深蒸しにする方が適していますね!!
また近年では、淹れた時のお茶の色が「濃い緑色」をしているのが好まれる傾向があるのも、深蒸し茶主流になった一因かもしれません。
まとめ
日本茶の代表格「煎茶」は『普通蒸し煎茶』と『深蒸し煎茶』の2種類がある。
普通蒸し煎茶は、昔ながらの標準的な蒸し時間で作られたお茶。
香りが豊かで、淹れ方次第で様々な味に調節することが可能な特徴を持っています。
深蒸し煎茶は、蒸し時間を2倍以上にして作られたお茶。
濃い緑色が特徴。長時間蒸すことで、苦味・渋味が比較的抑えられ、誰でも同じ味に淹れやすい特徴があります。
同じ煎茶でも、両者は対極的な特徴を持っています。
同じ品種・同じ地域で栽培されたお茶でも、蒸し時間が変わるだけでお茶の持つ特徴はガラッと変わりますね!
『普通蒸し煎茶』と『深蒸し煎茶』
両者の違いを楽しむのもおすすめです(^^)/