農業は天候に左右される産業。
お茶も例外ではありません。
お茶の樹は乾燥に弱い植物なので、生育が盛んに進む初夏から初秋にかけては適度に雨が降って欲しいものです。
ただし、お茶の樹が感染する病気のほとんどは『カビ』由来になります。
そのため、これからの高温多湿の環境はカビが生えやすい…つまり病気が発生しやすい環境になってしまいます。また病気が広がる時は、雨粒などの水滴により広まります。
適度に雨が降って欲しいのですが、雨が降ると病気が広がる可能性が高まってしまうのです。
6月に入るとジメジメとした天気が続きそうだったので、今日までの3日間は病気の防除として『ダコニール』を散布しました!
感染を防ぐ
ダコニールは殺菌剤の一種になります。
散布後は葉の表面上でカビの菌糸が伸び葉の中へ侵入するのを防ぐことで、新たな感染を防止する効果があります。
ただ、病気を治療する効果はありません。
また浸透移行性がないため、散布した場所にしか効果が出ません。
散布できていない場所などがあると、そこから感染する可能性もあり得ます。
しかし、病気の感染が広まるのを防ぐ効果は高く天敵にも優しいメリットがあり、さらに散布後分解されるのが早いので二番茶の収穫時に残留するリスクもありません。
多くの作物に登録があり、様々な農作物の生産の場で使用されその効果が評価されている事も、ダコニールを選択した理由の一つになります(^^)/
ジメジメ天気になると…
6月になるとジメジメした天気が続く予報でした。
雨が続くと病気が広まりやすくなるため、広まるのを防止するための対策が重要となります。
一度でも病気に感染すると、収穫時の品質や量に影響しますし、さらにカビ毒などのリスクも高まってしまいます。
また葉っぱの一部が枯れたりするような症状が出始めた段階では、どんな農薬をいくら散布しても元に治すことは不可能です。
病気に感染するとお茶の樹への負担が大きくなってしまいますし、予防を怠ると結果として農薬の使用量が増えたりもします。
農薬を必要最低限の使用にするためには、予防的に散布し病気の発生・感染を防ぐことが何よりも重要なのです!
ちなみに今回は、数日前から3社ほどの天気予報を見比べ、さらに気象庁の1か月予報を参考に散布を決定しました。
散布するかどうか…2晩ほど悩みましたが
・思っていた以上にジメジメした天気が続きそうなこと、
・感染が広まってからでは対応が難しいこと
これらのことから、今回ダコニールの散布を判断をしたことになります。
もち病が怖い
お茶の樹が感染するこの時期の怖い病気が『炭疽病』と『もち病』です。
特に『もち病』は、山間部などの比較的気温が低めで、霧や朝露が降りやすい環境ほど発生しやすい傾向があります。品質の良いお茶が育つ環境なのですが、多湿な環境はカビも生えやすいのです。
さらに感染する場所は新芽!
二番茶の芽に感染し発病すると、開いた葉に白いブツブツが出来たようになり、収穫が行えなくなってしまいます…。
そこへ、ジメジメした天気が重なると一気に感染が広まる可能性があったため、今回ダコニールを散布し病気の感染を予防する事にしたのです。
散布の情報
今回使用した農薬はダコニール1000
希釈倍率は1000倍で、10a当たり280L散布しました。
散布から収穫まで最低限空ける日数は10日になります。