今回はお茶の樹が感染する病気の中で最も対策が重要となる『炭疽病』についてです。
『炭疽病』も新しく伸びた芽に感染する病気です。
日本全国どこの産地でも見られる病気で、多発するとお茶の樹を疲弊させる厄介な病気になります。
葉が赤茶色になる炭疽病
炭疽病の特徴は
・新しく伸びた新芽に発生する
・赤茶色の症状が出る
・古くなると灰色になり表面に黒い粒々(胞子)が出来る
などが挙げられます。
発生が多くなるのは梅雨時期から秋にかけて…。
新芽が伸びる時と雨が多く降るタイミングが重なると発生が多くなりますね(>_<)
また以前炭疽病になり枯れた葉っぱが残っていると感染が広がりやすくなります。
これは葉っぱの表面に出来た胞子が雨により新しい葉に伝染するためです。
病原菌が侵入するのは葉っぱの裏の毛茸から…。
菌が侵入してから症状が出てくるまでの潜伏期間も14~20日と比較的長めです。
炭疽病も”もち病”と同じく雨などにより葉が濡れると胞子が新しい葉に付着し感染が広がります。
葉が10時間以上濡れていると感染が成立しやすくなるとされていますね…。
そのため雨が1日降り続く様な天気になると要注意!
雨が降りやすい梅雨時期や秋には発生が多くなりやすいとされています。
また台風による雨などにも注意が必要です。
芽を守り育てるために…
特に注意したいのが、梅雨時期に生長する二番茶芽と三番茶芽になります。
上河内地区では二番茶までしか収穫を行いません。
その後に伸びる三番茶芽が翌年の一番茶(新茶)の品質や収穫量に大きく影響を与えるため、適切に防除を行い三番茶芽を炭疽病などから守ることが重要となります。
まず現在行っている『浅刈り』により感染しやすい新しい葉を一時的に取り除きます。
そして三番茶芽が萌芽する頃に1回予防剤を散布し、葉が2~3枚程度開いた時に治療効果がある農薬を使用するようにしています。
物理的な防除と化学的な防除を組み合わせることで、効果的に病気からお茶の芽を守ることを目指しているのです!
ちなみに浅刈りを行ないと農薬の使用を増やす必要があります。
大体ですが2~3剤程度は増やす必要がありそうです。
特に今年は雨が多く一部で病気の症状が見られます。
また健全な葉もすでに感染している可能性もあるので、平年以上に徹底して『浅刈り』を実施していく必要がありそうです。
ご家庭での防除方法
ご家庭での防除方法としては、
・発病した葉を取り除き処分する
・芽が伸び始める前にボルドー剤又はダコニールで防除する
この2つが基本となります。
発病した葉が多い場合は、枝を低い位置で剪定し葉を一時的に全て取り除く事のもおススメです。
ただし栄養不足に陥りやすくなるので、尿素や硫安などの化成肥料を少し施すことがポイントとなります。
新しい葉に感染を広げやすいのは、症状が出て時間が経過した古い葉っぱです。
葉が赤茶色になる症状が出たばかりの状態では感染させる力が弱いため、発病したら出来るだけ速やかに取り除いてください。
症状が出た葉を速やかに取り除くことを繰り返していけば、病気が発生するリスクをより低くすることが可能となります。
芽が伸び始める前に防除を行えば、病気が発生するリスクをさらに低下させることが可能です。