2020年の7月は雨が多く記録的な日照不足となりましたね…。
1日を通して晴れたのは2・3日あればいい方でしょう…(^^;)
大半は曇り空となり、太陽や青空を見ることが出来ない日々が続きました。
また雨が降る日が多いだけでなく、一度に降る雨の量も非常に多かったですね。
自宅に設置した簡易雨量計の数値は1,345mmを記録しました!
一カ月間でこんなに雨が降った事は今までの記憶にありません。1年間に降る雨の半分程度の雨が降った事になるでしょう…。
大雨や長雨による影響も心配ですが、梅雨明けすると極端に雨が降らなくなることもあります。
雨も晴れも適度な周期で廻って欲しいものです(>_<)
そして今日はついに久しぶりの青空・晴れとなりました!!
いよいよ梅雨明けになるのではないでしょうか…。
明日からは8月が始まります。
来年の一番茶(新茶)の品質に直結する三番茶芽が最も盛んに生育する時期です(^^)/
非常に重要な1か月間が始まる前に、今回は雨ばかりの7月に行った作業をまとめて投稿していきたいと思います。
6月末「肥料まき」
6月末から7月上旬頃に行ったのが「肥料まき」と「浅刈り」です。
まずは「肥料まき」から…。
二番茶を収穫した後のお茶の樹は本来なら光合成を行い栄養分を作り出す場所を失った状態になります。
もちろん収穫するのは芽の先端のみなので、葉っぱがすべてなくなるわけではありません。
しかし、お茶の樹の生育には当然影響してきます。
また二番茶の収穫後には「浅刈り」という剪定作業を行うため、葉の量が減少することに…。
このままではお茶の樹が疲弊してしまうため『収穫のお礼』と『三番茶芽の生育のため』に肥料を施してあげるのです(^^)/
今回は早く効果が出て必要な栄養分を必要な量だけ施せるメリットがある化成肥料を選択しています。
春や秋は有機質肥料を主体とした物を使用していますが、生育が盛んになる夏場は必要な栄養分を早く届けることが重要になるため、化成肥料が主体となりますね。
もちろん使用するのは適切な量のみ…。
過剰に使用すると病気が発生しやすくなったり害虫が多く発生してしまいます。
逆に少ないとお茶の樹が疲弊してしまい上手く生育できなかったり、病気や害虫の被害を受けやすくなることもあります。
そのため適切な量をしっかりと施すのが重要になるのです(^^)/
肥料を専用の道具に入れて畝間を歩きながらまいていきます。
肥料は一袋20㎏となりますし傾斜がきつい畑も多いので汗だくになりながらの作業です。
もし一番茶の収穫後に肥料をまとめて施してしまえば、作業回数は削減できるかもしれません…。
しかし、必要な量をこまめにまくことでお茶の生育を良くしていきたいので、この時期にも肥料を施すことを選択しています。
7月上旬「浅刈り」
7月上旬に行ったのは三番茶芽が生育するための土台を作るための『浅刈り』作業になります。
一番茶と二番茶の収穫を終えた畑の断面はこんな感じになります。
葉の量は多いですが非常に込み合っています。
また枝数は多いものの非常に細いです。
このままでは三番茶芽の数は増加するものの1つ1つの芽が小さく弱々しい物になってしまいますね(>_<)
また葉っぱが込み合っていることで病気や害虫が発生しやすい環境が整っています。
時期はちょうど梅雨。
植物が感染する病気のほとんどは『カビ』由来なので雨が多いと病気が伝染しやすくなります。
また高湿度の環境が続くと発病する可能性も格段に高まりますね…。
さらにお茶の場合は新しい黄緑色の葉っぱが病気になりやすい傾向があります。
そこで充実した三番茶芽が育つ土台作りと病害虫の防除のために、葉っぱが少し残る程度で枝を剪定する『浅刈り』作業を行いました。
位置は赤いラインの辺り…。
ちなみに『中切り』作業は数年に一度ですが『浅刈り』作業は毎年二番茶の収穫後に、中切りをした畑を除いたすべての畑で行っています。
『浅刈り』も枝葉を大量に刈り落とす作業です。
正確に量ったわけではありませんが、一番茶と二番茶を合わせた収穫量よりも浅刈りで刈り落とす枝葉の量の方が多いですね(^^;)
カットした枝葉は畝間部分に落としていきますが次第に枯れ、土の微生物たちに分解されフカフカの土へと変化していきます。
もったいないような感じもしますが、土への有機物の補給・土づくりにとって重要な意味を持ちます。
ただし有機物をあげすぎるのも禁物!
分解できる能力を超える有機物を補給すると逆に土や植物に悪影響を及ぼすため、秋から冬にかけて行う敷き草は刈り落とした枝葉が少ない畑へ施すなどする必要がありますね…。
『浅刈り』作業を行うと濃い緑色の葉っぱが見えるようになります。
対して作業前の畑は黄緑色。
また、一番茶後に中切りをした畑では茶色い枝が見える状態です。
そのため茶畑はパッチワークのように…。
作業が進むと景色も変化する、短い期間しか楽しむことが出来ない一期一会の景色となります。
ちなみにこの写真を撮影した日は晴れていましたが、翌日からは雲が主役の空模様に…。
カッパを着ながら作業を行う事になりました(^^;)
7月中旬は…
7月中旬はとにかく雨が続いていました。
もし天気が回復すれば草取りなどを行うのですが、今年に関してはほとんど行うことが出来ませんでしたね…。
雨と高めの気温により草も盛んに生長する時期。
こまめな草取りが重要になる季節です。
また野イモ(自然薯)のツルを取り除くのも重要な作業です。
お茶の樹を覆うようにツルが伸びるため厄介ですし、冬になるとイモを掘り返しにイノシシがやって来ることがあります。
お茶の樹を跳ね上げるようにして土を掘るため、当然お茶の樹にも深刻な影響が出ます。野イモのツル取りは厄介な作業ながらも重要なのです(^^;)
7月下旬「防除作業」
7月下旬に行うのは防除作業の1回目。
三番茶芽に対しては3回ほど防除作業を行い、病害虫からしっかりと守りながら育てていきます。
三番茶芽は収穫する事はないですが、もし病害虫の被害に遭うと樹勢がかなり低下しますし、翌年の一番茶の品質や生育にも影響するほどです。
光合成を行い栄養分を作り出す場所であり同時に栄養分を蓄える場所にもなるため、しっかりと守り育てることが重要になります。
ただし、暖かい時期は天敵たちも活発に活動をしてくれています(^^♪
そのため使用する農薬は天敵などの昆虫に優しいことが重要です!
また私たち人間にとっても安全性が高く、残留しにくい物を選択するようにしています。
もちろん農薬の使用は必要最低限です。
正しい方法で使用すれば安全性が保障されていますが、より安心できるように
・天敵に優しいこと
・人への安全性が高いこと
・早く分解されること
これらの自主的な条件を満たした物しか使用しないようにしています。
特に天敵の力は重要です(^^)/
天敵たちの力を借りながら、お茶づくりを進めています!
また散布後分解されるのが早い物を使用することで、翌年の一番茶の収穫時には残留農薬が検出限界値以下または日本・アメリカ・EUの残留基準値のうち最も厳しい基準をクリアすることを目標としています。
ただ実際は散布後2~3週間程度すれば、ほとんど分解されてしまいますね。
安全で品質の良いお茶づくり、お茶の樹が健全に育つために必要最低限の農薬を使用しますが、農薬の選定には時間をかけて様々な情報を集めてから行っています。
7月下旬に行うのは三番茶芽に対して行う1回目の防除作業。
この時期は三番茶芽が萌芽する時期になります。
この状態の芽がチャノミドリヒメヨコバイ(通称ウンカ)などに吸われてしまうと、芽の生育が阻害されて伸びることが出来なくなってしまいます。
最悪の場合は枯死してしまうことも…。
また新しい葉や芽には病原菌が伝染しやすいです。
病害虫の被害を受けると最も深刻なダメージとなるため、この時期の防除が最も重要になります。
今回はチャノミドリヒメヨコバイなどの害虫対策として『ガンバ水和剤』と病原菌が伝染するのを防ぐために『ダコニール』を散布しました。
また大雨の影響により生育に影響が出る可能性があったので、試験的に液肥の葉面散布も行いました。
『ガンバ水和剤』は劇物指定の農薬になりますが、天敵に対しての影響が少ないため選択。
『ダコニール』は病気を治す効果はないですが、病原菌が芽や葉っぱの中に侵入するのを防ぐ効果は高い特徴があります。
今年は7月下旬になっても梅雨明けしなかったので、雨が降らない日を狙って芽の生育に合わせての作業となりましたね…(^^;)
最後に…
8月になると2回目の防除作業(病害虫の状況によっては3回目を行うことも…)と苦土石灰をまく作業がメインの作業となります。
三番茶芽が続々と萌芽し始め、生育が早い畑ではすでに1枚から2枚程度の葉が開いています!
茶畑も濃い緑色からほのかに黄緑色がかって来ました(^^)/
今後はたった1日でも茶畑の様子が変化するほど生育が盛んな時期になりますね!
今後もしっかりとお茶の樹の手入れを行い良いお茶の樹が育つのを手助け…。
良いお茶の芽が伸びてくれるように、頑張ってお茶づくりを進めて行きたいと思います!!