今回は残留農薬について投稿していきます!
やはり農薬に関しては気になる方も多いでしょう…。
『お茶・農薬』などと検索すると、
”お茶にはかなり農薬が含まれている!”
というような内容のサイトも多く見られます。
そこで今回はお茶の残留農薬について、お茶の生産者として責任をもって説明させて頂きたいと思います!
ちなみに結論から言いますと『お茶にはかなり農薬が含まれている』というのは正しくないです。
自主残留農薬検査ですが全ての成分で検出下限値を下回り、残留農薬が検出できない結果となりました。(請求がありましたら原本を開示いたします)
また当方では出荷するお茶は商品と共に、商品のサンプルと残留農薬検査用のお茶も毎回提出しています。
もちろん今回私が説明する事も受け取り方は人それぞれになるでしょう!
様々な情報がありますし各々の考え方があります。今回の記事はお茶との向き合い方を考える一つの情報として受け止めてくれると嬉しいですし、そのために責任をもって事実を述べさせていただきたいと思います。
解説の前に
お茶の残留農薬の説明をする前に、まずは「残留農薬」について説明していきます。
残留農薬は、その言葉の通り作物に残留している農薬のこと…。
農薬は人が食べる食品に使用されるため厳重に使用方法や残留基準が決められています!
ただ、やはり不安になったり心配になったりしますよね…。それは当然の事と思います!
私自身も昔は農薬に対してあまり良いイメージは持っていませんでした。
ただ、不安になったりよく分からない分野だからこそ「しっかりと勉強するべきだ」と思い、農業大学校在学中は農薬のことを専門に勉強しました。
勉強をする上で大切にしているのは、栽培方法に関わらず「環境に優しく客観的に安全を証明できる農作物を作るためには知識をしっかりと持つことが重要」という意識です。
新しい研究結果や社会情勢などもあるため、常に知識はアップデートしていく心構えでいます。
単位ppmについて
残留農薬を説明する際に必ず必要になるのが単位『ppm』の説明です。ただ『ppm』という単位について説明しているサイトがほぼありませんね。
そこでまずは残留農薬を表す単位の説明させて頂きたいと思います。
『ppm』とは百万分率百万分のいくつかを表している単位です。
農薬関連のサイトを見ると目にする単位だと思いますが、どのくらいの単位なのか…例を挙げて説明しているサイトはほぼ無いですね…。
1ppmの例ですが、
1km中の1㎜
12日間の1秒
100万円のうちの1円
という単位になります。
※1ppmを%にすると0.0001%になります。
そして肝心の農薬の残留基準ですが一律で0.01ppmが基準となっています。
0.01ppmは
100km中の1㎜
1億円のうちの1円
という世界です。
そこから作物や農薬の成分ごとに残留農薬の基準が設定されていきます。残留農薬は気になるかもしれませんが単位は非常に小さいです。
1ppmと言う単位であっても普段の生活に当てはめると、
物の置き場所は1㎜もずらしてはいけない
0.0数秒単位で一切の遅れなく生活する
そのような感じになります。
もちろん不安になる気持ちも分かります。
しかし、極端に残留農薬を気にする方がストレスなどで体に悪いかもしれません…。
もし有機や無農薬にこだわる場合は、手軽に購入できる物や度々そのような食材を使用するのが良いかもしれませんね!ゆとりを持って取り組めるところから行うことをおすすめします。
ちなみに、農薬を落とせる洗剤…などが販売されていますが、残留農薬の単位を知っていると完全に怪しい品物であることが分かります。
「農薬が浮いてきた…」
と目に見えるほど農薬が残留していることは無いでしょう!
多分他の成分が溶け出し、それを農薬だと勘違いしているのだと思います。
特に「油膜が浮いてきた」という話を聞くことがありますがこれは植物由来の物ですね。植物はもともと体を守るためにワックスの層を持っているのです。
お茶も油のような物が浮いてくることがあります。
特に高温で焙煎した「ほうじ茶」で発生することが多いようですが、これはお茶の木がもともと持っていた油分になり、焙煎したことで油分も溶け出しやすくなっているだけなのです。
また残留農薬ですが『無農薬』であっても農薬が”0”とは限りません!
周辺から農薬が飛んでくる事もありますし、機械が検出できる量以下は検出できない…という場合もありえます。
実際、無農薬のお茶ですが農薬が検出された例も多いです。
残留基準=含まれている農薬の量ではない
農薬の残留基準値…を車の制限速度に例えてみます。
車であれば時速1km・2kmくらいの誤差であれば取り締まられることはないでしょう…。また取り締まられたとしても減点と罰金程度で(違反区分によりますが)済みますね。
しかし農作物はそうはいきません!
基準値を僅かでも超えると出荷停止になります。
車に例えるなら制限速度を時速0.1km・0.01kmでもオーバーしたら、運転している車を『廃車』にされるようなもの…。
当然信用を失うため仕事を失う事にも繋がるでしょう。
よく「どばどば農薬をかけている」と言われることもありますが、それも植え付けられたイメージでしかありません。
残留農薬を超えれば出荷停止…。それどころか廃業のリスクさえあります。農薬をドバドバ使用することはありません。
また農薬そのものも無料ではありません!
経営面的にも必要最低限しか農薬は使用しない・使用できないのです。
残留基準値はあくまでも超えてはならない一線であり、これだけの農薬が含まれていることを表すものでは無いのでご注意ください。
実際は農薬が検出されない事の方が多く、検出されたとしても残留基準値を大きく下回っている事がほとんどなのです。
お茶の残留農薬について
では、本題のお茶の残留農薬についてです。
お茶の残留農薬基準もは0.01ppmという一律基準の元、農薬の成分ごとに決められています。
ただ、お茶は他の作物と比べると基準値が圧倒的に高いですね…。
一部の農薬のみ掲載させて頂きましたが全体的に基準値は高いです。これは紛れもない事実です!
ただし、欧米の方が圧倒的に基準値が高い農薬もあるため、どちらが厳しいかと一概に言い切ることは出来ません。
多くのサイトもこの基準値を掲載していますね。これだけ見ると、お茶にはたくさんの農薬が含まれているように感じるのは仕方の無い事かもしれません(>_<)
ただ、この数字はあくまでも基準値です。
実際はこんなに農薬が残留していることはありえません
重要なのでもう一度言います。
お茶の残留農薬基準値は高いですが、ここまで農薬が残留している事はありえません!
農薬を正しく使用していれば大幅に基準値を下回りますし、大半の場合は一律基準の0.01ppmを下回るまで分解されることが大半です。
特に一番茶(新茶)は病害虫の被害を受けにくい時期に育つため、この時期のお茶であれば農薬が検出されることはぼほ無いと言っても良いでしょう。
またあまり知られていませんが、お茶は農薬を使用してから収穫までに空けるべき日数が他の作物より長い傾向にあります。
野菜類では農薬散布後24時間経過したら収穫できる資材もありますが、そのような資材であってもお茶は7日ほど日を空ける必要があったりするのです。
これはお茶は繊細な香りも楽しむ作物であるため、長めの期間が設定されている傾向にあるのだと思います。
確かに残留農薬基準値は他の作物より高いかもしれませんが、農薬の使用基準は他の作物より厳しく設定されているのです。
と言っても不安に感じる事もあるでしょう!
仮に合計して1ppm(現実ではかなり高め)の農薬が残留していたとして少し計算してみます。
1回分5g程度の茶葉を使用するとなると…
1ppm=0.0001%
5g×0.0001%=0.000005g=5µg
もし1ppmの農薬が残留していたとすると、茶葉の中には5µgの農薬が含まれていることになります。
大半の場合は高くても0.1ppm以下になるため0.5µgという事に…。
呼吸など普段生活している中で体に入ってくる化学物質の方が圧倒的に多いです。
以上のことからお茶の残留基準値だけを取り上げて
「お茶にはたくさんの残留農薬が含まれている」
というような雰囲気で説明するのは不適切だと思っています!!
選び方の参考に…
ちなみにお茶の残留農薬基準値が高いのは
「一度に大量の茶葉を飲まない/食べないため」
と言われています。
が、個人的にはもっと基準値を低くして欲しいと思っています。
実際に残留基準値ほど農薬が残留している事は無いですし、何よりも不安をあるような記事がいつまでも出続けてしまいますしね…。
実際に基準値は高めに設定されていますが、残留農薬の検査結果としては他の作物と同等あるいは下回りますので、お茶だけが特別という事ではありません。
しかし残留農薬が気になる方は気になるでしょう!その場合は無農薬栽培の物を選択することをおすすめします。
ただし、無農薬と謳って販売する事は本来であればNGです。栽培期間中農薬不使用などの表記の物の方が良いと思います。
また一番茶(新茶)を選ぶというのも一つの手段です。
一番茶の時期は比較的涼しく、病気や害虫の発生が少ないです。
上河内地区でも一番茶(新茶)の芽に農薬をかけることはしていません。そもそも農薬を使用する必要が無いからですね。
農薬を使用したお茶であっても残留農薬はごく僅か…。
さらに安全性はしっかりと保障されているため、あとは自分自身が安心できる物を選ぶことが大切です。
注意点として個人的に思うのは栽培方法での判断はあまりお勧めしません。
有機栽培で使用できる農薬は散布回数をカウントする必要が無かったりします。その点を利用し高頻度で防除を行っている生産者も少なからずいるため、有機栽培の方が農薬の使用量が多い場合もあるのです。
有機栽培で1年に10回以上農薬を散布している生産者もいますし、有機では無いものの農薬の散布は年に2回ほどの生産者もいます。
栽培方法で判断する方が圧倒的に楽ではあるのですが、そのイメージを逆手に取っている所もあるため、やはり生産者を見て判断されるのが良いと思います。
まとめ
農薬の残留基準値を表す単位はppm
1ppmは0.0001%で
1km中の1㎜
100万円のうちの1円
という単位になります。
非常に小さな単位なので、残留農薬の心配をする必要はありません。
お茶の残留農薬基準値は他の作物と比べて高いですが、実際は基準値ほど残留することはありません!
基準値はあくまでも『基準値』です。実際の数値とはかけ離れているため、お茶にたくさんの残留農薬が含まれている…というのは正しくありません。
残留農薬は気になるかもしれませんが、安全性に関しては全く問題ありません!
ご安心してお茶をご購入下さい。
もしそれでも気になる方は、無農薬のお茶などをおすすめします。
ぜひご自身が安心して飲める物をお選びください。