日々お茶暮らし  茶農家のブログ

川根地域でお茶づくりをしている農家のブログです

裾刈りで真っ直ぐに刈る理由

こんばんは。

今日の川根町上河内地区は一日を通して雲が主役となる空模様でした。ほんの少し雨がぱらつくこともありましたが作業に支障が出るものではなくそのまま行うことが出来たので、激しい雨とならず有難かったですね。

なお日差しが届くこともありましたが、その時は一気に蒸し暑くなり結構堪えました。

 

ただ、だいぶ作業を進めることが出来たので、来週からの秋のナラシ作業開始には十分間に合いそうです。

 

今日も裾刈り

裾刈りを行い、輪郭がはっきりとしたチャノキが増えてきました。ごく一部分の刈り落としではありますが、ずいぶんすっきりとした印象に変わるので、やっていて面白さを感じます。

この作業を行うことに心がけているのは主に二つ。

一つはしっかりと刈り落とし畝間を開けること。これは作業のしやすさに直結しますし、先日投稿した記事にあるように病害虫も防除にも繋がりますね。

 

もう一つはなるべく真っ直ぐになるように刈ることです。

ただ「真っ直ぐの方が見た目が良いから」という理由ではありませんし、そもそも目的ですらありません。

真っ直ぐに刈るのはあくまで手段の一つに過ぎず、最終的な目標は作業を楽に行うことにあります!

 

真っ直ぐに刈る理由

現在、我が家では可搬型と呼ばれる機械を使用し収穫作業やナラシ作業を行っています。可搬型は一つの畝に向き合うような形で持ち作業をしていく種類の機械です。

畝幅の違いや高さの違いは持ち手の調節を行い対応するのですが、細かな違いは体で調節します。これは特にエンジン側を持つ人の行動になりますが、少し幅が広くなれば腕を伸ばしたりお辞儀をするような格好になりますね。

 

その都度調節をすれば良いと思われるかもしれませんが、それでは作業がなかなか進まないので体への負担はある程度覚悟したうえでの作業実施となるのです。

 

ですが、もし畝幅が変わらなければ比較的楽な体制で作業を行うことが出来ます!これは、幅の変化へ対応する必要が無いからですね。

現実では僅かな幅の違いはどうしても生まれてしまいますが、それでも幅の変化が少なければ負担が減ることには変わりありません。

 

畝の幅の変化を少なくするためには畝間部分が曲がらないこと、均等な間隔で畝間があけられていることが大切であり、これが裾刈りで真っ直ぐになるように刈る理由になるのです!!



なお作業が楽になるだけでなく、幅の変化へ対応する意識も減らすことが出来るため、表面を刈り整えることへしっかりと意識を向けることが出来ます。

それは結果として表面がデコボコすることを防ぐことになり、収穫時に古い葉っぱが混入する可能性を減らすことに繋がり、お茶の品質維持のためにもなるかと思っています。

 

ただ、地形の関係でわざと畝間を曲げて刈ることもありますし、イノシシなどの動物が畝間を掘り返していると機械のタイヤや足を取られ曲がってしまうこともあります。

あくまでも「なるべく真っ直ぐになるように刈ろう」という心持ち程度であり、何が何でも真っ直ぐにしなければならない訳ではありません。

天敵チャハマキチビアメバチとチャノコカクモンハマキに関して思うこと

こんばんは。

今日の川根町上河内地区は朝から雨が降ったり止んだり。降る時はやや強めの雨となっています。

雨がしっかりと降っているので外作業は行えません。事務作業や役仕事を行いましたが、体を休めるには良い機会となりました。

 

今年はチャノコカクモンハマキが多め

順調に育ってきている夏のお茶の芽ですが、ここ1週間から2週間の間に一部畑のほんの一角でチャノコカクモンハマキの食害が目立ち始めました。

 

チャノコカクモンハマキとは、蛾の一種であり幼虫の間にチャノキの葉っぱを食べて生育に悪い影響を及ぼす害虫になります。同じような被害をもたらす蛾としてチャハマキというのもいるのですが、名前だけでなく食害の傾向や姿にも若干の違いがあります。

上の写真がチャハマキ下の写真がチャノコカクモンハマキになります。

オスとメスでも姿に若干の違いがあるので、それぞれ分かりやすい写真を選びました。

 

教科書的には静岡県ではチャハマキの方が発生量が多く、チャノコカクモンハマキは少なめだとされています(鹿児島では逆の傾向があるとされています)

しかし近年様子を見ているとチャハマキの発生は少なめであり、チャノコカクモンハマキの方が多く発生しているように思いますね。特に今年はその傾向が強く出ています。

 

チャハマキに関しては下の写真のチャハマキチビアメバチ

こちらが主な天敵となっているため、発生が抑えられているのでしょう。今年の夏も多少成虫の姿を確認しましたが食害の後は極めて少なく、彼らの姿を度々見かけました。ほかにも天敵となる虫はいるのですが、チャハマキチビアメバチに関しては比較的見つけやすい大きさなので度々見ることが出来ているのでしょう。

 

しかし、チャノコカクモンハマキの発生が多くなってきたのはここ数年の事であるため、まだ天敵の力が不足気味なのではないかと思われます。

十数年前に入ってきたチャトゲコナジラミという害虫の時も(中国から新たに入ってきた害虫です)侵入してきて間もなくの数年間は爆発的に増加していましたが、今ではシルベストリコバチを中心とした虫や昆虫病原糸状菌など、様々な天敵の働きによりしっかりと抑えられています。

そのため、近年発生が多くなりつつあるチャノコカクモンハマキに関しても数年間は様子を見る必要があるかなと思っているところです。

 

チャノコカクモンハマキの発生が多くなってきた原因は正直わかりませんが、今まで鹿児島県の方で発生が多い傾向にあったのならば気温上昇が影響しているのではないかと思われます。

 

今のところ、生育を脅かすような状況にはなっていないので大丈夫だとは思いますが、今後どうなるかはしっかりと注視していきたいと思います。

畝間部分の枝葉をカット とにかく歩く裾刈り作業

こんばんは。

昨日はお昼過ぎに雨が降り作業を中断することになりましたが、本日は朝から夕方まで良い天気で推移してくれました。一時的に雨が降りそうな空模様にもなりましたが、結局降ることは無く済んでくれたので有難かったです。

 

なお18時過ぎには雨が降り出しました。短時間で止みましたが明日は一日雨予報なので事務的な作業を少し行い、体を少し休めたいと思っているところです。

 

裾刈り作業

昨日から始めた裾刈り作業。

チャノキとチャノキの間、畝間部分(裾部と呼んでいます)に伸びた枝葉を刈り落とし歩きやすくしたり樹形を整える作業になります。また結果としてですが病害虫の対策にもつながりますね。

これからの時期はダニなどが越冬するのですが、越冬場所として選ぶのがチャノキの裾部分。道路などに面しているところではよりその傾向があるようです。

裾刈りをしっかりと行うことでダニが越冬する場所を減らし、ダニの密度を低減させることにも繋がるのでは…とされています。

 

なお、昨年の秋の裾刈りではいつもより刈り落としを減らしました。これが原因だとは断言できませんが、春のダニの発生量はここ数年では多めな傾向であったため欲をかいてはいけないなと思った次第です。

もちろん気温などその他の要因も考えられるので、裾刈りをしっかり行えばダニの発生を防げるとは言えません。しかし、やらないよりはやった方が利点があるので、二番茶後(こちらは病気)と秋はしっかりと裾刈りをやろうと思っています。

上が作業前、下が作業後の様子です。

裾部分(畝間部分)のみの枝葉の刈り落としですが、これだけでもずいぶんすっきりした雰囲気に変わったかと思います。そのため作業してて面白くなってきますね!

 

なお刈り落とす枝葉の量が多いこと、一番茶収穫時に収容袋などが引っかからないようにすることから、この時期の裾刈り作業は往復刈りするようにしています。

往路で大まかに刈り落とし、復路でささくれたような所や刈り残しをカットするイメージです。

 

そのためとにかく歩きます。

スマホの万歩計を見ると本日は25,300歩との表示になっていました。枝葉を刈るのは機械がやってくれるので人は機械を操作、そして支えつつ歩きまくるのです。

ただし手押し式の機械の場合は機械を自分で押す必要があるため、より大変な作業になります。

 

我が家で使用しているのは自走式の機械であるため、エンジンの回転数を上げるとタイヤが回り進んでくれます。そのため、機械を支える程度で枝葉を刈っていけるのです。

 

そのため、裾刈り作業は使用している機械のタイプによって、労働負荷が大きく違ってくる作業になるかと思います。そして太めの枝も切れる刃であるため危険性もそこそこ高いでしょう。万が一転倒し、刈り刃と接触すれば大怪我は免れません。

 

こちらの作業も安全第一で進めていきたいと思います。

草に関する作業からチャノキに関する作業へ 裾刈り作業開始

こんばんは。

今日の川根町上河内地区は午前中を中心に良く晴れました。お昼過ぎに黒い雲が広がったのですが、ここ最近雨が降り出しそうな状況になっても結局降らずに終わるので今日も降らないだろうと油断しておりました。

そう、今回は短い時間ではありましたが雨が降ったのです。洗濯物も外に干していたので急いで家に帰り取り込むことになりました(^^;)

 

天気予報では所により雨が降る予報が出ていたので、今回はちょうど当たった形になりますね。都合の良い方へ考えてしまうと面倒なことになると実感した一日でした。

 

草刈り作業終了

先週は主に草刈りを実施する週になりました。

刈った草はこの状態で乾燥させ、秋のナラシが終了したら少しずつ茶畑に入れていきます。秋から冬にかけての重要な作業となるのです。

 

また、草場の維持としても重要な意味合いがあります。草場を草場として維持していくためには定期的な草刈りのほか草を持ち出す必要もあります。草を持ち出すことで小さな植物も育ちやすくなりますし、地面に直接光が当たることが生命活動の条件となる植物や昆虫もあるので、草場の生物多様性の観点からも重要となるのです。

なお、まだ気温が高いのでススキなどの植物は再度芽を伸ばし始めます。芽を伸ばしやすいよう、刈った株の部分には草が被さらないようにしていますね。今後伸びる芽は冬になっても刈ることは無く、根に貯蔵養分を蓄えたり一部の昆虫の餌となったりする役割があります。

 

昨年はやや高い位置で草刈りをしていたのですが、残した部分に病気が発生しその後の生育があまり良くありませんでした。今年は地際付近で刈ったので、どうなるかしっかりと確認していきたいと思います。

 

裾刈り作業開始

来週からは秋のナラシ作業を開始する予定です。

その前段階として、今日から裾刈り作業を開始しました。

四番茶芽が伸び黄緑色となっている茶畑ですが、ナラシ作業を行うと濃い緑色となり、翌年の一番茶までその状態が続きます。そのため黄緑色の茶畑はもう間もなく見納めとなり、半年以上先までしばしの別れになる光景になるのです。

まだ今年中に行う作業はいくつもありますが、秋の裾刈り作業を始めると今年ももう終わりに近付いていることを実感します。少しの寂しさもありますが来年の一番茶へ向けてチャノキを整える時期になるため、しっかりと取り組んでいきたいと思います。

チャノキも実りの秋へ

こんばんは。

今日も川根町上河内地区では日差しが届いたり曇ったりの空模様となりました。湿度が高めなのか気温の数字以上に蒸し暑さを感じましたね。

最近は一日を通して雨が降ったり曇ったりという日は無いものの、逆に一日を通してしっかりと晴れるような日もありません。秋の高い青空を見ることはまだ出来ていないです…。

 

9月ももう少しで下旬となりますが、秋らしさを感じることがもう少し増えてくれると嬉しいですね。

 

チャノキも実りの秋に

秋はチャノキに花が咲く季節です。そして実が成熟する季節でもあります。

花と実の時期がほぼ同じなので花が咲いてすぐに実が成熟するのか…と思われるかもしれませんが、実は一年ほどの時間がかかっているのです!

今、枝についている実は昨年の秋に花が咲き受粉した物となり、今咲いている花に実が付き成熟するのは一年後の事になるのです。

 

そのため、チャノキはほかの作物と比べると花が咲いてから実が成熟するまでかなり時間がかかる方かと思います。基本的には実を取るために育てている作物ではありませんが(近年では油などを作るために実を目的に育てる場合もあります)時間がかかっている分、この光景は待ちに待ったものの感じます。

 

なお花が咲いて実が成熟するまでに一年ほどの時間がかかるため、上手く受粉出来ていなかったり何回か行う裾刈り作業により実も刈り落とされたりしているでしょう。

今出来ている茶の実はそれだけの月日を残りえて実ったものとなるのです。

 

花が咲かないように管理

ちなみにチャノキは基本的には花が咲かないように管理します。

花が咲くのは木がピンチな状態であり次世代へ種を繋げようとする傾向が強まるからであり、逆に木が順調に育っているような状態であればそれほど種を作る意味がないとされているからです。

 

ただし、どんな手入れをしていたとしても花が一切咲かないという事はほぼ無いでしょう。あくまでも花の”量”が問題であり、大量に花が咲くような状態が問題なのです。

 

以前、夏場に水やりを控えた株と適度に水やりをした株で花の付き方に違いが出るか実験したことがありますが、水やりを控えた株の方が圧倒的に多くの花を付けました。これは乾燥状態になったことで、チャノキが次世代へ命を繋ぐために種を付けようとした事によるものだと思います。

このようにチャノキの生育上、何らかの悪い影響があると花が多くなる傾向にあるため、出来る限りチャノキが育ちやすい環境を整えることが重要だと思っています。

 

厳密にいえば花を咲かせないようにするのではなく花がたくさん咲くような状況に陥らないような管理をするといった方が良いのかもしれません。

 

ちなみにお茶の品評会によっては茶園の審査があるものもあり、出品する方は花やつぼみを手作業で取り除くようです。そのような茶園はかなり手を入れているのですが、それでも花がゼロになることは無いのでしょう。

品評会という特別な場を除いて、チャノキには普通に花が見られるものなので白く可憐な花をお楽しみ頂ければと思います。ただし、あまりにも花が多い場合はどこかに問題がある可能性があるので、管理やその年の気候などを振り返ってみるのも良いかと思います。

気が付かないうちに集っているかも マダニの話

注意

今回はマダニの注意を呼び掛ける投稿になります。主にマダニが服へ集っているような画像を投稿するため、このような画像が苦手な方は閲覧を控えるようにお願いいたします。

 

なおマダニに関する感染症などに関しては今回は取り扱いません。

気が付かないうちに服についているかもしれない…という危険性を認識してもらうための記事とさせて頂きたいと思います。

 

最近は草刈り作業を進めていましたが、草場という事でマダニとの遭遇リスクはグンと高まります。さらに近年シカを中心に生息頭数が爆発的に増加。マダニを媒介するため、よりマダニと遭遇する可能性は高まっているでしょう。

私自身も数年前までは何年かに一度マダニに喰われる程度でしたが、今では少なくとも年に2~3回は噛まれています。対策を強化したうえでの被害増加なので、マダニと遭遇することが増えたことが噛まれる回数が増えたことの主な原因になるでしょう。

 

今回の草刈りでもシカなどの痕跡がある場所で作業をした後には、ズボンを中心に5頭ほどのマダニがいるのを確認できました。

上の写真のマダニは小さいですが、今回遭遇した個体の中ではまだ認識しやすい方です。こちらは地下足袋にいたマダニになりますが、指の先辺りにマダニがいるのが分かると思います。

 

そしてまた別の個体の画像を…。

こちらにもマダニが写っているのですが見つけられるでしょうか。

こちらも親指の先にあるホコリのようなゴミのような非常に小さな点がマダニになります。今回遭遇したマダニの中では最も小さい個体であったと思います。意識して確認していなければ見落としていたでしょうし、見つけられなかったマダニもいそうですね。

 

これほど小さいマダニですが噛まれると痛痒いようなかゆみが長い期間続きますし、感染症のリスクもあります。病原菌・ウイルスを媒介しているマダニは限定的ですし、噛まれたからと言って必ず発症するわけでもありません。

そのため確率的には感染症になる可能性は低いですが、それでも致死率が高い病気もあるため不安になるのは仕方ありませんし、痒みが続いたりもするので病気云々を抜きにしても噛まれないのが一番です。

このようにマダニは非常に小さく、知らず知らずのうちに服に集ってきていることがあります。シカなどの生息域の拡大、生息頭数の増加によりマダニと遭遇するリスクも高まってきているので、各々外に出る時には注意をしてください。

 

私は外作業を行う時はズボンの裾は靴下の中に入れ侵入経路を減らしたり、お茶の収穫期および収穫前の時期を除いて虫よけスプレーなどの使用もしています。また外作業で着ていた服は帰宅後すぐに脱ぎ新しい物へ着替えることも当たり前といえば当たり前ですがマダニに対しての効果もあります。

 

それでも噛まれたり服に集ってきているので、これさえやっておけば安心できる対策はありません。様々な対策を行いマダニに喰われる可能性を減らすことが重要だと思います。

四茶芽が伸びる茶畑

こんばんは。

今日は午前中を中心に良く晴れて気温が上がりました。猛暑日手前まで気温が上がりましたが、午後からは黒い雲が広がり遠くからは雷の音が…。夕方4時前から激しい雷雨となり、この雨が涼しさをもたらしてくれました。

日中は暑いですが、朝晩に関しては安定して涼しくなってきているので先月と比べるとずいぶん過ごしやすくなったと思います!

 

四茶芽が伸びる茶畑

今日の草刈り作業で、刈る作業に関しては終わりが見えてきました。あと1日程度の時間があれば十分終えることが出来るので、この土日に関しては他の用事を済ますことが出来そうです。

 

そして今日で9月は折り返し。茶畑では四茶芽がグングン伸びてきています。

茶畑も遠目で見て黄緑色になってきましたね。一番茶とナラシ作業や浅刈りがが起点となって生育が始まる二茶芽・三茶芽と比べると芽数が少なく、ややバラつきが見られるため芽の雰囲気には若干の違いがあります。

一面びっしりと伸びてきている黄緑色ではありませんが、それでも日が差してきた時には鮮やかな光景が広がります。

来週の後半には裾刈り作業を開始し、再来週のいずれかのタイミングで秋のナラシ作業を開始します。伸びた芽を刈り整えることで来年の一番茶が育つ土台を完成させるのです。

 

そのため、作業を行うにつれて茶畑家の雰囲気は今とは大きく違ったものに変化してきます。黄緑色の芽が伸びてきている茶畑を見ることが出来るのも残り僅かな期間となってきました。