日々お茶暮らし  茶農家のブログ

川根地域でお茶づくりをしている農家のブログです

化粧刈りを行いより美しいお茶の木へ

おはようございます。

ここ2日ほどは朝の冷え込みも穏やかで過ごしやすい日が続いている上河内地区です。

 

日中に関しては湿度が低いため過ごしやすいですが、27℃程度まで気温が上がる事もあります。

季節外れの暖かさですね。

 

しかし、この時期であれば夏日を超える気温になることも珍しくないと思います。

あと1週間程度すると一気に気温が下がってくる時期でもあるため、寒暖差などには注意しながら過ごしたいと思います。

 

より美しく

現在進めているのは化粧刈りと言う作業。

ナラシ作業で刈り残した葉っぱや上手く刈れなかった葉を刈り落としていく作業になります。

 

作業前の畑はこのような状態。

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この状態でも決して悪くはないと思います。

しかし、お茶の木の表面からペラっと飛びてているような葉っぱがありますね(^^;)

 

またナラシ作業で上手く刈れず、切り口が雑な状態となっている葉っぱもあります。

 

このような葉っぱを除去し、よりお茶の木を美しくするのが化粧刈りの役割です。

 

混入防止と病気の予防

化粧刈りを行うのには主に2つの理由があります。

 

1つは古い葉っぱの混入を防止する目的です。

 

ペラっと飛び出た葉っぱは一番茶の収穫時に新芽に混入するリスクが高まります。

お茶の葉っぱなので異物の混入では無いのですが、葉の水分量や柔らかさの違いから加工中にだまになることがありますし、お茶の品質低下を招く事もあります。

 

写真の状態であれば混入する確率は低いと思うのですがゼロではありません。

冬の強風でさらにお茶の木の表面が乱れることもあり、混入するリスクが高まる事も考えられるため、念のためを考えて化粧刈りで取り除くようにしています。

 

ちなみに作業後のお茶の木がこちら。

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作業前のお茶の木と比べると、飛び出ているような葉っぱが無くなったのが分かると思います(^^)/

 

そして2つ目の理由は病気の予防です。

ちょうど今頃の時期から冬の初め、2月頃から4月頃にかけて赤焼病と言う病気が発生しやすくなります。

 

この病気は他の病気と違い細菌由来であるという特徴がありますね。

晩秋から春にかけての時期は比較的病気が発生しにくい季節なのですが(カビ由来の病気は暖かく多湿な季節、梅雨から秋に発生しやすい)赤焼病はこの時期に発生する傾向があるのです。

 

またこの時期特有の気候も赤焼病に関与します。

寒さによる害や霜の害を受けると発生しやすくなると言われていますし、冬や早春の強風は感染のきっかけとなりますね。

 

まず赤焼病は葉っぱに出来た傷口から雨が降っている時に病原菌が侵入します。

台風などがやって来た時は要注意。また春の嵐も病気が広がる可能性が高いです。

 

葉っぱに出来た傷口から病原菌が侵入するため、葉の切り口が雑だと病気に感染しやすくなるでしょう。

葉の切り口を美しくすることで病気に感染するリスクを減らすのが目的の2つ目です。

 

最後に

  • 古い葉っぱの混入防止
  • 赤焼病という病気の予防

 

この2つが化粧刈りを行う主な理由です。

 

化粧刈りによるお茶の木の変化はとても微細なものです。

しかしこの違いがお茶の木の生育や品質にプラスになると思うので、化粧刈りを行うようにしています。

緑色が鮮やか! 「おくひかり」の茶畑

化粧刈り作業は折り返し地点を過ぎました。

この時期になると少しずつ疲れが溜まってきますが、順調に作業を進める事が出来ています。

 

ただ、使用している機械はバリカンが高速で動くもの。

指くらいなら簡単に切断してしまうため、作業を行う以上は集中して安全第一で作業を進めたいと思います。

 

おくひかり

こちらのお茶の木はおくひかりと言う品種です。

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おくひかりは、やぶきたよりも芽が遅く伸び始め、収穫する時期も遅い晩生(おくて)の品種になります。

一番茶の収穫も最終日に行うことが多いですね。

 

そんな「おくひかり」は葉っぱの緑色がとても鮮やかでツヤツヤしている特徴があります。

見る角度によっては太陽の光を反射して、緑色ではなく金色っぽく見える事もありますね(^^;)

 

しかし、近くで見ると緑色が鮮やかなのがはっきりと分かる品種です!

 

お茶にも多様な品種があるのですが、その違いは果樹のようにハッキリとしていない事も多いです。

 

しかし品種として登録される以上、他の品種と判別できるような違いがあります。

些細な違いですが、お茶の木の見た目にもお茶の味や香りに特徴が出るため面白いです。

ナラシ後の茶畑特集

おはようございます。

先週末は台風の影響で雲が目立つ空模様でしたが、再び秋らしい青空が戻ってきました!

 

少し日差しが強いように感じますが、ジメジメした蒸し暑さはなく過ごしやすいですね。

布団や毛布などを干すのにも最適な天気だと思います!

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茶畑も青空に映えますね。

 

ナラシ作業によりお茶の木は刈り整えられた形へと変化しました。

この形で冬を越し、春になると新芽を伸ばし始めるのです。その頃の景色が一年で最も茶畑が美しい状態だと思います。

 

しかし景色のためにお茶の木を刈り整えているわけでは無く「良い芽が育つように…」「良いお茶をつくれるよう」にするためなのです。

 

お茶の木や茶畑の見た目は、良いお茶をつくるために行った作業の結果になりますね。

 

現在はナラシ作業で刈り残ってしまった葉を刈り落とす化粧刈りを実施中。丁寧に行いたいと思います(^^)/

化粧刈り開始

おはようございます。

ついにナラシ作業は無事に終了へ…。

 

続いて化粧刈りと言う作業を始めていきます。

ちなみに化粧刈りは、ナラシ作業とほぼ同じ作業です(^^;)

 

ナラシ作業と同じ位置で再度枝葉を刈り落としていきます。

違うのは使用する刈る方向でしょうか。

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手前にあるエンジンの左側に刃が付いているのがナラシ作業で使用した刈ナラシ機。

 

奥側にあるエンジンの右側に刃が付いているのが化粧刈りで使用する刈ナラシ機になります。

 

この時期のお茶の木は枝葉がたくさん茂っている状態です。

そのためナラシ作業だけでは上手く刈れなかった葉が残ってしまったり、切り口が雑なものも出来てしまいます。

 

そこで葉の向きが違う機械を使用し再度ナラシ作業で行うことで、よりお茶の木の表面を整えていくのです。

 

まるで化粧をするようにお茶の木の表面を整えるため「化粧刈り」と呼ぶのかもしれませんね。

 

ナラシ作業だけでも問題ないくらいの状態にはなっているのですが、葉が残っていると収穫時に古い葉が混入するリスクが高まります。

また切り口が雑だと病原菌が侵入しやすくなるため、この時期のナラシ作業は丁寧に行うようにしています。

夏らしい昼間と冬らしい夜

こんばんは。

今日も一日を通して良い天気となった上河内地区です(^^)/

 

しかし昨日は台風が接近したことが影響しているのか、湿度が高く夏らしさを感じる陽気となりましたね。

 

その一方で朝晩はしっかりと気温が低下。

冬は暖房の設定温度を18℃にしているのですが、その温度よりも安定して低くなるようになりました。

 

昨日の日中は夏らしいムシっとした陽気。

最近は秋らしいカラッとした空気の日が続いていたので、蒸し暑さが少し体に堪えました(^^;)

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雲もどこか夏らしさを感じるものでした。

 

ちなみにナラシ作業は順調に進み、すでに97%ほどの畑で終える事が出来ました。

 

ナラシ作業が終了したら続いて化粧刈りを行います。

この作業はナラシ作業と同じ位置で再度刈り取りを行う作業になります。

 

お茶の木の表面は上手く刈れなかった葉がペラペラッと残っているので、このような葉を刈り落としていく事になります。

 

ちなみにナラシ作業の方は上河内地区全体で見ても8割程度の畑で終わっています。

茶畑は濃い緑色へと変化し、冬そして春を迎えるための準備が整いつつあります。

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裾刈りとナラシは病害虫防除の効果あり

こんばんは。

先週から始めたナラシ作業はいよいよ終盤となりました。

 

ナラシ作業により枝葉を刈り落とすと、今後伸びる芽が徐々に膨らんでいきます。

ただこれからの季節は気温が低くなるため、芽が少し膨らむ程度で伸ばすまでには至りませんね。

 

ナラシ作業を早く行いすぎたり、ナラシ作業を終えた後に気温が高い日が続くと芽が伸びる事も少しはありますが、極端な作業・天候でなければそれほど影響しません。

 

そんなナラシ作業や少し前に行った裾刈り作業は、翌年の春を迎えるためには欠かせないものです。

お茶の木を刈り整える事で、春を迎えるための準備をする形になりますね。

 

しかし、裾刈り作業とナラシ作業の効果はそれだけではありません!

結果として病害虫の防除にも繋がる作業になるのです。

 

防除効果について

お茶の木が感染する病気のほとんどは「カビ」由来の物で、湿度が高い状態や雨が続くと病気になりやすくなる傾向があります。

そのため、風通しを良くすることが病気を予防する第一段階となりますね(^^;)

 

ただこれからは気温の低下により、病気が発生しにくい季節となります。

常に病気が発生しているのではなく、気温や湿度などの環境が揃うと病気が発生するのです。

 

感染が広まらない季節は胞子の形で…。

条件が整うと胞子が広がり、病気が発生するようになります。

 

刈り落とす葉の中には病気になってしまった物もあります。

それを除去することで来年の伝染源となる葉を減らすことに繋がるのです。

 

また害虫も冬越しする際には特徴があります。

葉から養分を吸う事で生育に悪影響を与えるダニは、裾の部分の葉で越冬する傾向があるのです。

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(作業前)

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(作業後)

そのため茂っている裾部分の葉を刈り落とすことは、ダニが越冬する場所を減らすことになりますね。

 

チャトゲコナジラミという比較的新しい害虫も裾の部分に多く生息するため、裾刈りなどで葉を刈り落とすことが有効な防除方法の1つとなっています。

 

土づくりに

刈り落とした枝葉は無駄にはなりません。

 

この時期の茶葉も加工すれば良いお茶となるのですが、刈り落としたとしても無駄にはならないのです。

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刈り落とされた枝葉は次第に土の中にいる微生物に分解され腐植となり、豊かな土を作り出してくれます。

 

近年、夏場に雨が降らない日が続き生育に影響が出ないか心配になるのですが、葉が落ちてしまうような酷い影響は出たことはありません。

多少雨が降らない日が続いたとしてもビクともしない土になってくれますね(^^)/

 

ナラシ作業や裾刈り作業は直接的な効果もありますし、病害虫の防除や土づくりなど結果として役立つ効果もあるのです!

漂うイノシシの気配 

おはようございます。

 

昨日はお昼頃から弱い雨が降ったり止んだりの天気となりました。

そして今日も弱い雨が降ったり止んだりの状態です。

 

台風の影響が心配ではありますが、今のところ雨は強くありませんし木々も揺れていないため風も弱い状態でしょう。

少し逸れるような進路に変わったので、それほど影響が出ていないのだと思います。

 

伊豆や関東、伊豆諸島では影響が大きそうですね。

大きな被害が出ることなく通り過ぎてくれることを願うのみです。

 

イノシシの気配

今日から10月が始まりますが、9月の下旬頃からイノシシの気配が漂うようになりました。

 

もともとイノシシは数多く生息していますが、ここ1年ほど気配を感じる機会が減少していましたね。

これは豚コレラ(豚熱)が流行したことが影響していると思います。

 

新型コロナウイルスが流行り始める少し前から豚コレラ(豚熱)の流行が始まり、野生イノシシの感染が確認されるようになりました。

それに伴い感染したイノシシが出ていないか確認をしたり、ワクチン(エサ)の接種なども行われましたね。

 

私自身も一度だけですがイノシシから検体を採取し、検査機関に送付した経験があります。

 

そのような事があり一時的にイノシシの気配を感じる機会が減っていたのですが、最近になって再びイノシシの気配を感じるようになりました。

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茶畑の周りで土をほじくり返したような跡があったり、通ったであろう痕跡(泥汚れや枝の折れ)

 

これは枝葉や根っこが直接ダメージを受けるだけでなく、葉に傷が付くことで病気に感染しやすくなってしまいます。

このような被害を受けた所から病気が発生、周辺へ広がってしまう経験もしました。

 

また地面には足跡も!

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イノシシとニホンジカカモシカの足跡には少し違いがあるため、慣れてくると見分ける事が出来ますね。

 

そしてイノシシは体に付いたダニなどを除去するために泥浴びをする事もあります。

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水気のある部分で行うことが多く「ぬた場」とも言われたりしますが、このような場所でも行うようですね。

生えている植物などがなくなり、窪みを帯びた形に変化しています。

 

結果イノシシでした

このような痕跡が見られたため、トレイルカメラを設置し確認してみる事に。

 

その結果ですが、やはりイノシシの姿が写っていましたね。

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そこまで大きな個体では無いと思いますが、体つきもしっかりしていますし安心は出来ません。

 

もし我々人間にぶつかってくれば命に関わる大怪我をしますし、命を落としてしまう可能性も高いでしょう。

噛みつかれれば指くらい簡単に千切れられてしまいます(>_<)

 

茶畑への影響も心配ではありますが、遭遇しないか…という怖さもあります。

 

イノシシは夜行性と思われている方も多いと思いますが、実は夜行性ではありません!

比較的憶病な性格なので人気のなくなる夜間に活動することが多いのですが、慣れてくれば日中から見かける事もあります。

 

早朝や夕暮れ時も危険ですね。

特に最近は日が暮れるのが早くなってきました。夕方4時を過ぎると薄暗くなってくるため注意が必要でしょう。

 

写真で見るだけであれば可愛らしさも感じますが、実際に遭遇するとそんなことは思ってられません。

近くにイノシシがいることを念頭に過ごしたいと思います。