日々お茶暮らし  茶農家のブログ

川根地域でお茶づくりをしている農家のブログです

テントウムシの力を借りてお茶づくり

静岡県内では、多くの地域で一番茶(新茶)の収穫・製造が始まりました!

島田市の南部の地域では、すでに収穫を終えた茶畑も見られるようになりましたね(^^)/

 

今後、静岡県内では新茶の製造が本格化していきますし、お茶屋さんの店先には「新茶」と書かれた幟が目立つようになるでしょう!

 

ちなみに川根地域でも早い場所では、今週中には一番茶(新茶)の収穫・製造が始まる地区もあるようです。

 

ただ上河内地区では新茶のシーズンに入るまで、あと1週間以上は時間がかかるでしょう…。

気温が低めで、寒暖差も大きな環境なので、芽が大きくなるまでに時間がかかるのです!

 

コミカンアブラムシ

「アブラムシ」は最も有名な害虫になると思います。

 

野菜などを育てる時に対策をする必要がある害虫…というイメージを持っている方も多いと思いますが、お茶にもアブラムシはやって来ます(>_<)

 

お茶に寄生するアブラムシは『コミカンアブラムシ』と言われる種類です。

※写真は以前アブラムシがいた畑で撮影した物になります。

 

コミカンアブラムシは、新芽から樹液を吸うことで生きています。

そのためたくさん発生すると、葉っぱが内側にクルッと巻く被害や「甘露:かんろ」と言われる汁を排出することで「すす病」という病気を発生させる被害を受けることがあるのです!

 

もちろん、アブラムシがいる葉を収穫してしまっては異物の混入になりますし、もしアブラムシがいなくても「すす病」が発生してしまうとお茶の品質が低下する影響を受けてしまいますね…(-_-;)

 

これでは、混入してしまうと安全なお茶を作ることは出来ませんし、品質の良い物を作る事も出来ません。

 

さらに深刻なのが発生時期…。

コミカンアブラムシの発生は4月中旬頃から5月上旬にかけてがピークです。

 

ちょうど一番茶(新茶)シーズンを重なるため、発生そして蔓延すると影響は大きくなります。

 

テントウムシの力を借りて…

コミカンアブラムシは多くの地域で発生するため、地域によっては農薬を使用しての防除をする地域もあります。

 

しかし、川根町上河内地区では「コミカンアブラムシ」を対象とした防除は行いません!!

行わなくても…

茶畑や茶畑周辺に住んでいる『テントウムシ』たちが食べて退治してくれるのです(^^♪

 

また上河内地区の涼しく寒暖差が大きい環境がアブラムシの発生を抑えてくれるため、農薬を使用せずとも対策が可能となっています!

 

テントウムシのような害虫を食べてくれる虫のことを『天敵:てんてき』と呼ぶのですが、彼らの存在はなくてはならないですね(^^)/

 

テントウムシの他にも、ダニを食べてくれる「ダニ」や、卵や幼虫に寄生する小さな「蜂」たち…。

「クモ」や害虫が感染する病気などもあります!!

 

天敵を活かしたお茶づくり

農薬を使用して防除するのは、農作物を害虫から守る方法の1つなのですが、農薬の散布で完全に抑えられる訳ではありません!

また、農薬だけに頼ると必然的に使用量も増加してしまいます…。

 

農薬の使用量が増えると抵抗性を持った害虫が増えやすくなったり、害虫以外の虫を殺してしまう…つまり環境への負荷が大きくなる可能性もあります。

また農薬は、決して安いものでは無いのでコストもかなり多くなってしまいますね…。

 

 

そこで、農薬を使用する時は

 

選択性のある物を利用する

⇒害虫には効果があるけどそれ以外の虫には影響がない。天敵となる虫には影響がない・あるいは少ない農薬。

 

を選択することが非常に重要です。

そのため、どんなに効果が高く値段が安い農薬であっても、天敵への影響が大きければ使用しません。

 

また農薬の散布を必要最低限にすることも、天敵を活かす重要な手段になります。

 

※人に対しても安心して飲めるお茶を作るために、農薬を選択する時は農薬の成分や危険性などを徹底的に調べ、分解されやすい物(残留性が低い物)を選択することを心がけています。消費者の方に安心して欲しいという思いもありますし、私たち生産者が一番農薬の影響を受ける危険性が高いため、そもそも人に対して影響があるような農薬は使用したくありません!

また、昆虫や鳥たちがいる光景はとても和むため、そのような環境を壊すことも出来ないですね!

 

 

上河内地区・おかのや農園のお茶づくりでは、アブラムシを退治するために「テントウムシ」たちの力を借りています。

そのため、テントウムシにも影響を及ぼすような農薬の使用はNGです。

 

天敵たちに優しい農薬を選択することで、より安全でより環境に優しい農業を行っていくことが目標になります。