健康的なお茶の樹を育てていくためには適切に手入れをしていく事が重要です!
病害虫の被害や影響を避けるために農薬を使用する事もありますが使用は必要最低限!
もちろん使用する薬剤は、私たち人間にとっても優しく安全性が高いことも重要なポイントです。
その他に自主的な基準ですが
・天敵に優しいこと
・分解が早いこと
・収穫時には残留性が低いこと
これらも重要視しています。
例えば、どんなに人にとって安全性が高く残留しない薬剤だとしても天敵に対して影響が大きければ使用を控えます。
有機栽培でも使用できる農薬があるのですが、天敵への影響がやや大きい評価がされている物は使用を非常に悩みますね…。
「有機栽培でも使用できる…」
という事でイメージ的には良いのかもしれませんが、天敵を大切にしてきたいので使用するのを避けることがあるのです。
逆に天敵などには優しくても、残留しやすい農薬であればこちらも使用を控えます。
農薬の選択は使用する資材の中で最も時間をかけて選ぶものです。
正しく使用すれば安全性は保障されますが、さらに天敵などに優しいなど自主的な基準を設けることで使用や選択には緊張感をもって取り組むようにしています(^^;)
ちなみに一番茶(新茶)の収穫時には残留農薬検査で検出基準値以下になるか、日本・ヨーロッパ・アメリカの残留農薬基準値の中から最も低い基準を下回ることを目標としています。
今回は自主的な農薬使用基準の中で最も重視している『天敵』について…。
その天敵の代表格『テントウムシ』について投稿していきます。
天敵とは
天敵とは何なのか…?
身近な存在に当てはめると『テントウムシ』が天敵と言われる虫になります。
テントウムシはアブラムシを食べてくれますね(^^♪
作物の生育に影響を与える害虫「アブラムシ」を食べてくれる存在なので、彼らの存在や力は作物を育てる上で欠かせません!
ほかにも植物に影響を与えるダニがいる一方で、害虫となるダニを食べてくれるダニもいます。
ダニの天敵はダニになるのですね。
そのためダニ剤を選ぶときは、害虫となるダニには効果があっても天敵となるダニには優しい物を選択するようにしています(^^)/
「農薬を使用すれば作物を完全に守ることが出来る…」
そんなイメージもあるかもしれませんが、農薬を使用したからと言って絶対に守れるわけではありません。
特に近年の農薬は安全性が高く環境にも優しいので、全ての虫を殺すような物では無いのです。
まずは天敵に活躍してもらい害虫による影響が出ない程度に抑制。
作物の生育に影響が出そうな時に農薬を使用して、作物を守っていく事が重要となるのです!
ちなみに害虫だけでなく天敵に対しても影響が大きい農薬を使用すると、天敵が減少してしまい害虫が増加する事があります。
専門的には『リサージェンス』と言いますね。
映画だと「インデペンデンス・デイ」で勝利を収めましたが、その後さらに強大になって帰ってくる「インデペンデンス・デイ:リサージェンス」編に突入するような感じなのです(^^;)
そのため、天敵を活かすことが非常に重要になります。
天敵の代表格テントウムシ
今回紹介する天敵『テントウムシ』
私たちの生活の中でも最も身近な存在になると思いますし、思い浮かべる方も多いでしょう!
その中でも『ナミホシテントウ虫』
『ナナホシテントウムシ』
彼らが代表的な存在となります!
成虫の状態でも、幼虫の状態でもアブラムシを食べてくれる存在です。
お茶の場合では、新芽が伸びる時に新芽にアブラムシがやって来てしまいます。
そのため収穫する部分を害してしまいますね…。
急激に増殖するため、なるべく早く農薬を使用した防除を行うのが良いとされています。
しかしテントウムシが活動してくれているため、今のところアブラムシを対象とした農薬を使用しての防除を行う必要がありません!
農薬の使用を削減することが出来るため、非常にありがたい存在になるのです(^^♪
ちなみに家庭菜園でも彼らの存在がアブラムシ対策として役立ってくれると思います。
アブラムシが発生してもテントウムシがいれば農薬の散布は行わないで少し待ってください。テントウムシがアブラムシを食べてくれると思います。
もし、テントウムシがいなかったり深刻な影響が出ている時は、アブラムシなどの天敵に対して優しい農薬などを使用して防除します!
天敵との付き合い方が大切になるのです。
厄介なアブラムシ
アブラムシを食べてくれる天敵「テントウムシ」ですが、作物の生育にとってアブラムシは非常に厄介です。
作物の樹液を吸うため、生育がかなり悪くなります。
萎れたような症状になることもありますし、ひどい場合には枯死する事も…。
繁殖力が非常に強く、ほんの数日間で増殖するのも問題です。
さらに厄介なのがウイルス性の病気を媒介していることがあるという事です。
植物が感染する病気のほとんどは『カビ』を由来としています。
カビ由来の病気が病気の種類の70%~80%を占めるのですが、逆に言えば20%~30%は違うということ…。
細菌性の病気もありますし、ウイルス性の病気もあるのです!
特にウイルス性の病気は厄介な傾向があります。カビ由来の病気と細菌由来の病気は、農薬で治療したり感染を予防する事が可能です。
しかし、ウイルス性の病気に関しては治療できる農薬が無いのです。
(もしかしたら、僅かながらあるのかもしれませんし、現在開発が行われているのかもしれません)
そのためウイルス性の病気になってしまったら、速やかに感染した株を取り除きます。
まず回復することは無いですし、周辺に感染を広げないためにも速やかに取り除くのが重要なのです。
あるいは植え付けや種まきの時に、ウイルス性の病気に対して抵抗性がある品種を栽培するような方法が一般的です。
そしてそのウイルス性の病気を媒介する存在が「アブラムシ」になります。
ウイルス性の病気になった作物で樹液を吸ったアブラムシがウイルスを体内に取り込み、新しい作物にやって来た時に感染させてしまうのです。
蚊が媒介するデング熱と同じようなイメージです。
作物が順調に生育するためにも、ウイルス性の病気になるのを防ぐためにも、アブラムシの防除を行うことが重要になります。
最後に…
アブラムシの防除はしっかりと行うことが重要です。
しかし、農薬に頼りすぎるのも禁物…。
天敵と協力しながら、適切に防除を行っていく事が大切なのです。