記録的な暖冬となった2019年から2020年の冬。
冷え込みが穏やかだったためか、今年は「チャトゲコナジラミ」という害虫の発生が多いような話を聞きます。
チャトゲコナジラミは近年日本にやって来た新しいお茶の害虫になりますね…。
多くの虫は冬の間は冬眠したり越冬に適した姿となっていますが、チャトゲコナジラミはちょっと例外!
明確な休眠ステージを持たず、冬を耐えぬいた個体が春を迎え増殖していく特徴があるのです。
チャトゲコナジラミはお茶の樹に直接的な影響は与えないのですが、多発すると『すす病』という病気を発生させることがあります。
すす病は葉っぱが黒っぽく汚れる病気なので、発生すると光合成をしっかりと行えなくなってしまうのです!
また爆発的に増殖する傾向があるため、発生の状況を観ながら防除することが重要となります。
実際に『裾刈り』『浅刈り』などで物理的に葉を刈り落として防除する物理的防除法や農薬を使用した化学的防除法によって防除を行っていますが、そのほかに『天敵』の存在も発生・増殖を防ぐ存在として非常に重要です(^^)/
昆虫病原糸状菌かな…
『昆虫病原糸状菌』という言葉はご存知ですか…?
簡単に説明すると昆虫に感染し病気を引き起こすカビのことです。
昆虫に感染すると体の表面に菌糸を作るようになるため一目瞭然で分かります。
先日、茶畑で見つけたのがこちら…。
葉っぱ全体が白っぽくなり、所々茶色く盛り上がっている場所もありますね…。
もう一枚
こちらは茶色く盛り上がった場所が点々とあります。
指の先端部分に黒い点がありますが、これがチャトゲコナジラミの幼虫になります。
そのことから
昆虫病原糸状菌に感染したチャトゲコナジラミ
ではないかと思います(^^)/
昆虫病原糸状菌に感染すると昆虫の体から菌糸が伸びるため、カビに覆われたようになったのでしょう。
天敵として
昆虫病原糸状菌は害虫を退治する『天敵』でもあります。
感染したチャトゲコナジラミは死んでしまうため、害虫の発生を抑えてくれる存在となりますね!
今年は暖冬の影響によりチャトゲコナジラミの発生が多いように感じますが、同時に昆虫病原糸状菌に感染したとみられるチャトゲコナジラミも多く見られました!
昆虫病原糸状菌はカビの一種ですが、チャトゲコナジラミの天敵は他にも…。
寄生することで退治してくれる昆虫もいます(^^)/
彼ら『天敵』の存在はとにかく重要!
安全で品質の良いお茶を作るために必要最低限の農薬を使用しますが、農薬だけに頼る防除には限界があるため、最終的には『天敵』の力や存在が必要になります。
そのため、農薬を選択する時は
天敵などの昆虫への影響がない・弱い物
を選択することがポイントになりますね!