日々お茶暮らし

お茶で有名な川根地域でお茶づくりをしている茶農家のブログです

二番茶前の防除は安全と天敵に優しいことを重視!

月曜日から行った二番茶前最後の大仕事である「防除」は、昨日何とか終わらせることが出来ました。

 

もともと水曜日までの3日間で行うつもりだったのですが、水曜日には天気が崩れ始めそうな天気になったため、急遽3日間を2日に短縮!

多少余裕を持ったスケジュールだったので、何とか2日間でも終えることが出来ましたが、久しぶりにクタクタになりました(^^;)

 

あとは、二番茶の芽が生長するのを見守りながら、草取りなどの作業をしていきます!

 

今回は二番茶前の防除作業のポイントなどについてのまとめです。

 

二番茶前は病気と害虫を防除

一番茶が終わる頃になると気温や湿度が高くなり、病気が発生しやすい条件が整いやすくなります。

また、冬ごもりしていた虫たちが活発に活動を始めるため、害虫の発生も少しずつ増えてくる時期になってしまいますね。

 

一番茶前はほとんど防除を行う必要はないのですが、二番茶に関しては防除を適切に行わないと、品質が著しく低下したり、収穫出来なくなってしまう事もあるのです。

また、病気になった葉っぱや害虫のいる葉など、異物が混入するリスクも高まるため安全な物を作る観点からも適切な防除が必須となります。

 

出来る限り農薬を使用したくない…という気持ちも当然ありますが、農薬を使用する事よりも農薬を使用しなかった方が安全性へのリスクが大きくなるため、防除を行うことにしています。

 

二番茶前の防除は、農薬の散布から収穫までの期間が少し短いため、一年の中で最も安全性などを重視しています。

人に対しての安全性が高いのはもちろん、天敵となる虫たちも活発に活動するため彼らにとっても優しい農薬を選択する必要があるのです。

 

残留農薬に関して不安に感じる方も多いと思うので、分解するのが早い物を選択し正しく利用することで、収穫時には残留基準値を大幅に下回るようにしています!

 

防除① 病気の治療・予防

今回の防除の目的1つ目は病気の予防と治療になります。

 

5月末に行った防除は病原菌が侵入するのを防ぐ予防的なものでしたが、今回は病原菌が侵入していたり、侵入してきた菌を殺菌する効果がある物を使用しました。

 

病気になり葉の色が変色したような物を治すことは出来ませんが、菌が侵入して間もない状態であれば治すことが出来る治療剤になります。

使用したのは、お茶での使用が多く効果が高いとされる『オンリーワンフロアブル』という農薬になります。

 

ただ効果が高いからと言って連用すると、耐性菌が発生する可能性が高まるため、使用は1年で1回に…。

二番茶前の重要な時期に使用することにしています。

 

オンリーワンフロアブルの散布情報

希釈倍率:2000倍

散布量:300L/10a

散布後日数:7日

 

※散布後日数とは、散布してから収穫するまで最低限空ける必要のある日数になります。

お茶は他の作物よりも厳しめに設定されている事が多いですね。

 

防除② ウンカ・スリップなどの防除

2つ目の防除の目的は、お茶の芽から樹液を吸い生育を阻害する虫である『チャノミドリヒメヨコバイ(通称ウンカ)』と『チャノキイロアザミウ(通称スリップス)』からお茶の芽を守ることになります。

 

この2つの害虫はとにかく厄介で、被害に遭うと芽が縮れたようになってしまったり、そもそも大きくなれなかったりします。

またお茶の樹を弱らせ病気などを引き起こさせる被害に遭うこともあるのです。

 

非常に小さな虫なのですが

「芽が伸び始める頃にしっかりと防除を行うことが出来ればお茶の芽が良く伸びる」

と言われるほど、影響力が大きい一面があります。

 

また天敵となる虫も少なく、さらに天敵たちによる防除の効果もそれほど高くないため、人の手による防除が重要な害虫になるのです。

 

今年は暖冬の影響で全国的にカメムシの発生量が多いとされています。

「ウンカ」もカメムシの遠い親戚のようなもので、暖冬の影響か今年は発生が多いような印象を受けますね…。

 

ウンカ・スリップスの防除で使用したのは…

コルト顆粒水和剤』という農薬になります。

 

こちらも効果が高く使用しやすいメリットがありますね。

天敵となる虫や周辺環境に対しても優しく、さらに分解されるのが早いため安全性も非常に高いです。

 

コルト顆粒水和剤の散布情報

希釈倍率:2000倍

散布量:300L/10a

散布後日数:7日

 

防除③ イモムシ類の防除

二番茶前の防除で最も重要なのは①の病気の防除と②のウンカ・スリップスの防除になります。

一方で③の防除は、害虫の発生状況を観ながら判断する物になります。

 

お茶の葉を食べるイモムシ類として『チャハマキ』『チャノコカクモンハマキ』『チャノホソガ』などの害虫がいます。

写真は『チャノコカクモンハマキ』の雄の成虫です。

 

影響を与えるのは幼虫の時。

幼虫(イモムシ)の時、お茶の葉を綴じて内部で葉を食べ進めていくことで被害を与えます。

収穫する部分を食べられてしまう…という被害を受けるのですが、食べられてしまう事よりも収穫時にイモムシやイモムシが出した糞が混入するのが問題です。

 

葉を綴じて内部で食べ進めるため、糞が内部に溜まってしまう傾向があります。

 

もちろん、収穫前に葉のチェックを行いますが、見落としがある可能性も十分あります。

イモムシやその糞が混入してしまえば、品質はもちろん低下しますし、安全である…とも言えません。何よりも、そのようなお茶は飲みたくありませんね。

 

防除するかどうか判断が難しいのですが、農薬を使用する事よりも農薬を使用しなかったことによるリスクの方がはるかに高確率で発生し、深刻な状態となるため防除することにしました。

 

ディアナ』という農薬を使用します。

ディアナは様々な作物で高い効果があると評価されている農薬です。

効果が高い一方で、分解するのが非常に早いのも良いポイントになりますね!

 

収穫時には残留していない事がほとんどです。

 

ディアナの散布情報

希釈倍率:5000倍

散布量:300L/10a

散布後日数:1日

 

最後に…

農薬を正しく使用するのは当たり前。

そして、収穫する物が安全であることも当たり前です。

 

しかし、不安に感じてしまうのは仕方の無い事かもしれません。

 

そのため人に対して安全なのはもちろんのこと、天敵となる虫や周辺に住む虫に対しても優しく、早く分解される物を選択することで、より安全性を確かなものにするようにしています。

 

農薬は環境へ影響を及ぼす強い物もありますが、そのような物は選択しないようし、さらに分解が早く安全性の高い物を使用することで

「環境に優しい農業」

「高く安定した品質」

「絶対的な安全」

これら全て両立できるようなお茶づくりを行うようにしています(^^)/