今回は特にマニアックな内容!
チャトゲコナジラミという害虫の天敵となるシルベストリコバチについて投稿していきます。
チャトゲコナジラミとは…
チャトゲコナジラミですが、この虫は近年新たに侵入してきた害虫になります。
繁殖力が非常に強く、侵入してきた当初は発生量が物凄かったですね…。
幼虫は葉っぱの裏に生息しています。
一方で成虫は新芽に集まって交尾する特徴があり、成虫の寿命は2~4日程度とされている害虫です。
発生量が少なければ問題はありません!
しかし多発すると幼虫が出す排泄物「甘露:かんろ」がすす病という病気を誘発して光合成を阻害することがあります。
そのため、お茶の樹の生育に影響が出ない程度に発生を抑えることが重要です!
農薬を使用した防除も行いますが、裾刈りや浅刈り・ナラシ作業により卵や幼虫を物理的に除去して防除する方法も非常に有効です。
そのため、両者を上手く組み合わせながら防除を行っています。
しかし、人の手による防除だけでなく天敵による抑制効果も大きいです。
侵入してきた当初は天敵となる虫が非常に少ないあるいはいない状況だったので物凄く発生してしまいました。
が、近年は天敵となる虫も増えてきているため、チャトゲコナジラミの発生は0にはなりませんが生育に悪影響が出るほどの発生にはならなくなりました(^^)/
そんな天敵となる虫の代表格が『シルベストリコバチ』なのです。
非常に小さいシルベストリコバチ
シルベストリコバチは非常に小さいです。
チャトゲコナジラミの幼虫に寄生する虫になるため、チャトゲコナジラミよりも小さいですね…。
黄色の粘着シートを設置して生育しているか…などをチェックしているのですが、ルーペなどを使用しないと判断が出来ないほどの大きさです。
この中にシルベストリコバチがいます。
いるのはメスのシルベストリコバチなのですが、背中の部分に白っぽい玉のような部分があるのが特徴です!
正解は…。
赤丸の部分!
周辺にいるのはチャトゲコナジラミの成虫なのですが、非常に小さいことがよく分かると思います。
肉眼で何となく予想を付けて、ルーペや虫眼鏡でよく見ないと正体を判断できませんね…(^^;)
またオスのシルベストリコバチは白い部分がないため判断するのがちょっと難しいです。
ルーペなどを使用して何とか特徴が分かる程度の大きさなので、出来れば顕微鏡があると有難いですね…。
天敵を保護
チャトゲコナジラミ対策としては裾刈りや浅刈りなどによる物理的な防除と農薬を使用した防除を行いますが、天敵などをしっかりと守っていくために天敵に優しい農薬を選択することが重要です!
近年開発されている農薬は、害虫には効果があるけど天敵となる虫には影響がない・少ない…という選択制があります。
同じダニでも害虫となるダニには効果がある一方で、天敵となるダニには影響がない物とかもありますね。
おかのや農園では農薬を使用する際、天敵に優しい農薬を選択することを重視しています。
農林大学校に在学していた時は農薬や病害虫を重点的に勉強!
そして現在も
「農薬ごとに天敵への影響がどのくらいあるのか…?」を調査した天敵への影響や散布後どのくらいで分解されてしまうのかを調査した減衰特性など、農薬に関する資料を集めて納得できた農薬のみを選択しています。
・私たち人間にとって優しい事・安全であることは絶対。
・天敵となる虫に対して影響がない・少ない環境に優しい物。
・散布後速やかに分解される(一番茶の場合は収穫時には残留していないようにする)
この3つの条件を満たした物のみを使用するようにしています。
使用する資材の中で農薬の選択には一番時間をかけますし同時に非常に悩みますね…。