日々お茶暮らし  茶農家のブログ

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厄介な新梢枯死症

こんばんは。

ここ数日は最低気温は22℃程度、日中の最高気温は33℃程度の日が続いています。

 

ただ体感的な暑さは日によって全然違います。気温の数字的にはほとんど差が無いのですが湿度が高い日はやはり暑く感じますし、特に昨日の夜は気温が下がったものの雨の影響で湿度が高く朝方まで結構暑かったです。

 

さすがにもう熱帯夜になることは無いと思いますし、9月になれば20℃を下回る日も出てくるでしょう。昨年の記録を見ると8月中は23℃や24℃という気温が目立ちますが、9月になると20℃少々の最低気温となり中旬ごろからは安定して20℃を下回っているため、夜の暑さとはもうしばらくのお付き合いかなと思っています。

 

厄介な新梢枯死症

この時期になると新梢枯死症という症状が出てくることがあります。

名前の通り新しく伸びた枝(新梢)が枯れてしまう(枯死)してしまう症状です。艦船から症状が出始めるまでの期間が長く、健全に育っているように見えてもある程度時間が経過すると突然葉っぱが枯れてきたところが出てくるため、少しショックを受ける病気ですね。

 

この症状は「綸斑病」を引き起こす病原菌により発生します。

綸斑病は主に「やぶきた」という品種のチャノキが感染しやすい病気であり、葉に出来た傷を中心に年輪のような模様が出るのが特徴です。発生しやすいのは気温の高い夏場であり、特に二番茶以降に発生するとされています。

 

この病原菌が新しく伸びた芽の付け根付近から侵入。その付け根付近にダメージを与え水分の供給を絶ってしまうことで、伸びた芽全体が枯れてしまうのが新梢枯死症となるのです。

 

我が家で育てているのは「やぶきた」が主であるため、綸斑病そして綸斑病菌によって発生する新梢枯死症は厄介な病気・症状になります。

特にいやらしいのが新梢枯死症の感染から症状が出始めるまでの期間が長いこと。葉が成熟してきたころに症状が出始めるため「良い状態かな…」と思っていてもその後新梢枯死が増えてしまうこともあるのです。

 

多少の発生であれば一切問題は無いですし、管理上も多少の発生は考慮しています。ただあまりにも新梢枯死が発生してしまうと、たくさんの芽や葉っぱが枯れ落ちてしまうため当然生育に悪い影響が出てしまいますね。

ただ伸びた芽をかき分けて付け根付近を見ると枯死している様子はほとんど見られません。もし感染していれば根本付近が黒っぽく変色しているため、限定的な発生で済んでくれると思っています。

 

なお新梢枯死症の対策としては夏場に葉をカットする作業をしたすぐ後に防除を行い綸斑病の発生を防ぐこと(新梢枯死症は綸斑病菌によって引き起こされるため、綸斑病を防ぐことが新梢枯死を防ぐことに繋がります)病気に耐性のある品種を選択することが主な対策となるでしょう。

なお夏場の病害虫予防のため二番茶収穫後に浅刈り作業を行っていますが、これを行うと綸斑病だけは発生しやすくなって一面があります。ただ作業を行わないとほかの病気が出やすくなってしまうため、より許容できる綸斑病のリスクを取るようにしているところです。

 

将来的には「やぶきた」以外の品種も率先して導入していきたいと考えています。綸斑病・新梢枯死症は「やぶきた」が最も発生しやすいため、品種を変えることにより綸斑病のリスクを減らすことが出来るのでより効率的な病害予防が出来るようになると思っています。