日々お茶暮らし

お茶で有名な川根地域でお茶づくりをしている茶農家のブログです

お茶の樹に適した環境

ここ数日間は季節外れの暖かい日が続いています。そのためお茶の芽が出てきてしまわないか、とても心配になるこの頃です。

 

一方で、今週末以降は気温が下がり平年並みになる、と予報で聞きました。いよいよ、12月らしい、寒さを感じる本格的な冬に突入していくのでしょう!寒暖差がとても大きくなりそうなので、風邪などひかないように、体を温めたり睡眠時間をちゃんととるなど、体調管理はしっかりとしていきたいです。

 

細分化します

今まではお茶に関する記事は「お茶のこと」で1つにまとめていましたが、これからは細分化していこうと思います。まず「お茶づくり」では、上河内地区や岡埜谷農園で行っているお茶の栽培や製造など、まさに”お茶づくり”に関しての記事をまとめていきます。

 

「お茶の楽しみ方」では、お茶の淹れ方、お茶を利用したスイーツや日用品雑貨などの利用方法。お茶の魅力やお茶がある暮らしの楽しさ・面白さを、投稿していきます。

 

最後に「日本のお茶」では、日本の様々な地域でつくられているお茶について、実際に訪れたことがある産地を中心に、そのお茶の特徴や産地の情報を投稿していきたいと思います。

 

お茶が育ちやすい条件

お茶の産地は?と聞かれたら、みなさんはどこを思い浮かべるでしょうか…?現在のところ生産量が日本1位である「静岡」。平らでどこまでも続く茶畑が見られる生産量日本2位の「鹿児島」。古くらか続いている日本茶最強のブランド「宇治(京都)」。首都に最も近い一大産地「狭山(埼玉)」etc…

 

日本の国内にはたくさんのお茶の産地があるのです!そこで今回は、お茶が栽培できる条件を投稿していきたいと思います。

 

まずお茶の樹ですが、基本的に温暖で湿潤な地域を好む性質があります。そのため育てるためには、まず『気温』がとても重要になります。

 

具体的には、

年間の平均気温が15、16度程度である

(上回れば問題はありません)

最低気温が12度を下回ることがない

この2つの条件を満たす地域が、気温が最適である地域になります。

 

そして次に重要になるのが「湿潤」つまり『降水量』です。年間で必要な降水量は1300mm以上で、そのうち芽が伸び葉がたくさん茂る4~10月頃にかけての期間中に900mm以上降ることが、教科書的な基準になっています。日本では降水量が1000mm以下となっている地域はごく僅かで、ほぼ全ての地域で少なくとも1300mm、1500mm程度の雨は降ります。なので、国内では降水量の基準はクリアできている、と言っていいでしょう!

 

しかし、静岡県では県内全域でお茶が盛んに栽培されているのに対し、隣の山梨県ではごく一部の地域に限られています。日照時間や昼夜の寒暖差や土の質など、そのほかの条件ももちろん影響していますが、静岡県では降水量が多いのに対し山梨では少なめです。1300mmの壁はクリアできても、まとまった降水量がある方がお茶は育ちやすいので、隣り合っている県でも違いが生まれます。

 

実際、お茶の生産量が多い静岡県三重県・鹿児島県では、年間2000mm~3000mm以上もの雨が降っている、というデータがあります。内陸部よりも海に面している地域の方が雨が降りやすいので、お茶の産地は海に面している県、特に太平洋側の地域に集中しています。

 

北限

平均気温15度以上の地域であれば、気温はクリアできますが、日本は南北にも長い国です。亜熱帯気候の沖縄がある一方で、北海道のように夏でも涼しい地域もあります。では、日本ではどこまでの地域でお茶が作られているかというと、北は岩手県陸前高田市の「気仙茶」秋田県能代市の「檜山茶」。この辺りまではお茶を栽培し、製茶加工することができる地域となっています。

 

ただし、産業として経済的に成り立つのは、もう少し南の地域へと下がります。太平洋側では茨城県の「奥久慈茶」、日本海側では新潟県の「村上茶」。この2つの産地を結んだ線が、経済的なお茶の栽培ができる北限とされています。

 

では、秋田県岩手県より北ではどうか?というと、実は青森でお茶が栽培されていた記録があります。今では製茶はしていないらしいのですが、過去にお茶が生産されていた記録があるそうです!さらに北へ行き北海道。北海道ではさすがに…と思っていたら、お茶の樹自体はありました!!北海道古平町の禅源寺というお寺の庭木として、お茶の樹が植えられているそうです。

 

ちなみに、国土地理院の地図で茶園の表示があるのは、秋田県能代市が最も北となっています。でも実は、樹自体は、日本全国全ての都道府県にあるのです!

 

温暖化とお茶の樹

今年の夏はとにかく暑かった!!全国的に猛暑となり、記録的な暑さとなったこと、最高気温の記録更新などは連日ニュースになっていました。ずいぶん昔のことのようにも感じますが、まだほんの4か月ほど前の事です。お茶の樹は平均気温が15,16度ほどの地域が適し、温暖な地域を好む、と書きましたが、暑すぎてもダメです(>_<)

 

今年の夏は最高気温が40度を超える地域もありましたが、実は40度を超えてしまうと逆にお茶の樹はダメージを受けてしまいます。例えば、葉が焼けてしまったり、生長が停滞するなど、深刻な影響が出てしまうのです。できれば最高気温は上がっても35度ほどまで!

寒すぎず、かといって暑すぎない、お茶の樹に適した環境は広いようでいて、実は狭くもあるのです。

 

そんなお茶の樹も近年の温暖化の影響は、じわじわと表れています。最も分かりやすいのが、一番茶(新茶)の摘み取り時期が早まっている、ということ!島田市川根町上河内地区では、5月の第1週くらいに摘み採りが始まるのが当たり前でした。しかし、近年になると4月の月末に始まることもあり、春気温が上がるのが早くなっていることが影響していると考えられます。これは川根町だけでなく、静岡県全域だけでもなく、全国の茶産地に当てはまることです。

 

”みかん”が栽培できる適地が温暖化が進むことで北上していく、というニュースを昔見たことがあるのですが、そのうちお茶も産地が北上し、東北で盛んに栽培されるようになる。そんな日も、もしかしたら何十年先の未来では来るのかもしれません…。