日々お茶暮らし  茶農家のブログ

川根地域でお茶づくりをしている農家のブログです

「おおいわせ」の生長状態と使い方

お米には”コシヒカリ”や”あきたこまち””キヌヒカリ”など、様々な品種があります。果物のブドウやリンゴ、今が旬のイチゴも”紅ほっぺ”や”とちおとめ”など、同じ農作物でもたくさんの品種がありますね(^^)/

 

あまり一般的ではありませんが、実はお茶にもたくさんの品種があるのです!

最も多く作られている”やぶきた”花粉症に効果があるとされる”べにふうき”など、その数は数百種類にもなります。

 

たくさんの品種があると、どの品種を栽培するのか?どのように組み合わせるのか、判断がしにくくなります。

 

そこでお茶の品種は

早く収穫ができる「早生品種

基準的な「中生品種

遅い時期に収穫する「晩生品種

の3つに大きく分け紹介されることが多いです!

 

今回はその中の1つ「早生品種」である”おおいわせ”という茶の樹について投稿したいと思います。

 

 

僅かな面積で…

上河内地区で栽培しているお茶の品種は、そのほとんどが『やぶきた』という品種になります!『やぶきた』は最も有名で、最も多く栽培されているお茶の品種です。

 

お茶に加工したとき、その味と香りが優れているので、この品種を育てています。

 

他の品種を育てたこともありますが、上河内地区で育てるのには『やぶきた』が最も適していたのです(^^)/

 

どうしても、「やぶきた」以上の香りや味わいを出すことが出来ません…。上河内の環境は、「やぶきた」に適しているのではないかと思っています!

 

 

おかのや農園も、育てている品種の98%が「やぶきた」になります。

 

残りの2%は?というと、早生品種の「おおいわせ」と晩生品種の「おくひかり」を、僅かな面積ですが育てています。

 

 

早く芽が伸びてきます!

おおいわせ」は早生品種の1つ、ということで早く芽が伸びてきます。

 

遠くから見た「おおいわせ」の畑がこちら↓

畑の一部分が、他のところより黄緑色になっているのが分かると思います。

 

同じ緑色なので、もうちょっと分かりやすくしてみました。

白い枠で囲ってある部分が「おおいわせ」という品種になります。

こうしてみると「隣とほのかに色が違うなぁ~」と思いませんか…(^^;)

 

なぜ色が違って見えるのか…?

その理由は芽の大きさにあります(^^)/

 

「おおいわせ」の芽を撮影した写真がこちら↓

 

同じ時期の「やぶきた」の芽と比較してみます。

 

「やぶきた」は新芽が葉っぱの中に埋もれている状況なのに対して、「おおいわせ」はその姿をハッキリと見ることが出来ます!

 

葉っぱもすでに1枚開いていますね…。

 

この生長の差が、早生品種や中生・晩生品種の違いとなったり、畑の色合いがほのかに違う理由になります。

 

 

「おおいわせ」の用途

おかのや農園では「おおいわせ」という品種のお茶を、僅かですが育てています。しかし、このお茶は一切販売などを行っていません!

 

というのも、このお茶には別の用途があるのです(゚д゚)!

 

上河内地区、そしておかのや農園で育てているお茶は「やぶきた」がメイン。

その「やぶきた」よりも早く芽が大きくなり、収穫ができる「おおいわせ」は、工場でお茶を揉む一番最初に加工しています。

 

なぜ、一番最初に加工するのか?その理由は、工場の掃除と関係があります。

 

 

一番茶(新茶)づくりのシーズンになる前には、お茶を揉む工場を徹底して掃除します。半年以上工場は眠った状態…。少しホコリがたまっていたりすることがあるので、掃除は必要不可欠です。

 

徹底的に掃除を行うので、ゴミや汚れはほとんど残りません…。

ですが、細かな隙間に僅かに残ることも考えられます。そのため、100%キレイになったと、言い切ることは難しいと思います。

 

そこで、シーズン始めの最初の最初に、お茶を試しもみすることで、完全に除去!100%キレイな状態にしています。

 

また、実際にお茶を揉むことで、機械がちゃんと動くか?などをチェックしたり、揉み方の確認なども含めて、行っているのです(^^♪

 

安心して飲むことが出来るお茶を作るために、『安全』だと言い切れるお茶を作るためには欠かせません!

 

 

香りが良いお茶です

販売などは行っていない「おおいわせ」のお茶ですが、「やぶきた」の上河内茶と比較しても、負けず劣らずの良い香りがします。

 

そのため、決して何か劣っている品種ではありません!

 

しかし、上河内地区で栽培するのにはちょっと難しい問題も…。

 

おおいわせ」は、写真でも分かるように芽が大きくなる時期が早いです。それは、メリットにもなりますが、同時にリスクを背負うことにもなります。

 

上河内地区は、昼夜の寒暖差が大きい環境となっています。

そうなると怖いのが『霜害』(霜が降りることで、芽が枯れてしまう被害のことです)

 

霜の降りるリスクを考えた場合、上河内地区で栽培するのには覚悟が要ります。

 

 

また、「やぶきた」の上河内茶と比べると、やはり「やぶきた」の方が、味わいが良いです。

 

そのため上河内地区では、「おおいわせ」の魅力を前面に引き出すのは難しいので、盛んな栽培は行っていません。