二番茶の収穫後に行うメインの作業。
それはお茶の樹の枝を刈り落とす『浅刈り』という作業になります。
お茶の樹の枝を刈ったり切ったりする作業は、4つの種類があるのですが、『浅刈り』はその中で最も刈り落とす深さが浅い方法になります。
詳しくはこちらをご覧ください
(茶の樹の更新方法)
二番茶を収穫した後の畑は、濃い緑色の葉っぱの上に黄緑色の葉っぱや茎が2・3㎝ほど残っています。
黄緑色の葉っぱが茂っているので、茶畑を遠くから見ても黄緑色に見えます。
お茶の芽を収穫する際は、芽の下の方の葉っぱを残して収穫するのが一般的です(葉っぱが硬くなり始めたり、うま味成分が減り始めているため)
川根町上河内地区では、お茶の芽は若々しく柔らかい状態(専門的に”みる芽”と言います)で収穫するので、残した葉っぱは生長を続け、倍ほどの大きさになることもあります!
葉っぱが完全に硬くなるまでは、黄緑色の状態が続くので、収穫後の畑も黄緑色に見えるのです(^^)/
ちなみに、残したこの葉っぱを収穫しお茶のすることも出来ます。
いわゆる『番茶』と言われるようなお茶になりますが…。
お茶の樹をかき分けてみるとこのようになっています。
黄緑色の部分が、二番茶として伸びた芽です。
たくさんの芽が伸びていることが分かると思いますが、このままの状態にしておくと枝の数がとても多くなってしまいます。
(今はまだ黄緑色をしている茎の部分は、次第に茶色くなり枝となるのです)
枝が増えすぎてしまうと、翌年の一番茶(新茶)の品質が低下してしまったり、これからの時期、病気になりやすくなってしまうため、『浅刈り』を行い刈り落とす必要があるのです(^^)/
枝が多いと…
1本の枝から1本の芽が伸びるとします。
枝の数が多くなると、伸びる芽の数は多くなりますね…。
芽の数が多いとたくさん収穫できそうな感じがしますが、1つ1つの芽に含まれる栄養分は少なくなってしまいます。すると芽の姿は、細くヒョロヒョロとした物となり、含まれる栄養分も少ないので品質も低下してしまうのです。
逆に枝の数が少なすぎると、伸びる芽の数が少なくなってしまいます。
枝の数は多過ぎず、少な過ぎず…。適切な本数にしてあげることが大切です!
また、お茶の樹を含めた植物の病気の原因の大半は「カビ」です。
そして、今の季節は雨が多く降り、湿度も高い梅雨時期。「カビ」が生えやすい、増えやすい環境であると言えます。
そのため、植物の病気も発生しやすくなるでしょう…。
枝の本数が多すぎたり、葉っぱや枝が込み合っていると、湿気が溜まりやすいので自然と病気が出やすくなります。
さらに、お茶の代表的な病気「炭疽病」「もち病」は黄緑色の新芽に発生しやすいので、黄緑色の葉っぱや茎をカットすることは、病気の予防にもつながります!
浅刈りをして黄緑色の葉っぱや茎をカットすることは、
・翌年の一番茶の品質を維持する
・病気の予防
2つのメリットがあり、川根町上河内地区では二番茶の収穫後には毎年行っています。
作業後の畑
浅刈りをした後の畑はこのような色合いになります。
黄緑色の葉っぱや茎の部分は全てカットするため、濃い緑色の葉っぱがじかに見える状態となるのです。
残っている葉っぱは、1つの枝につき1枚か2枚程度…。
場所によっては、葉っぱをすべて刈り落とし、茶色の枝が見える状態にすることもあります。
大量の葉っぱや茎、枝をカットするのですが、この量は一番茶や二番茶シーズンに収穫するお茶の量よりも多いです!
ちょっともったいないような感じがしますが、良いお茶を作るためには欠かせない作業。
カットした葉っぱなどは、お茶の樹の根元に落とし、時間の経過とともに微生物や菌たちに分解されて行きます。黒くてフカフカの土に変化するので、カットした葉っぱたちでもムダにはならないのです!
作業は、良いお茶を作ることに直接つながり、さらに刈り落とした葉っぱなどは良い土になり、間接的に良いお茶づくりに繋がってきます。
今後のポイント
浅刈り作業をして、この状態で約30日経過すると、新しい芽(三番茶芽)が伸び始めます。
この芽をしっかりと育てること、充実した葉っぱにすることが出来れば、来年のお茶の品質は良くなります。
逆に、病気を多発させてしまったり、害虫の被害に遭ったり、あげる肥料の量が足りないと、充実した葉っぱにはなりません!
翌年の一番茶の品質も低下してしまうので、影響はとても大きいです。
これからの時期は、三番茶の芽をしっかりと育てることがお茶の樹の栽培のポイントとなります。