お茶は大きく分けて「緑茶」「紅茶」「ウーロン茶」の3種類に分けられます。
日本で『お茶』と言うと「緑茶」を思い浮かべる方が多いですが、世界で最も生産され、飲まれているお茶は「紅茶」です。
”tea”は紅茶のことで、緑茶は”greentea”と言われるように、世界的には圧倒的に紅茶の生産量・消費量が多い状態となっています。
割合にすると、生産量の6割強が紅茶、次いで3割弱が緑茶となります。ちなみに、ウーロン茶は1割もありません。
そんな紅茶ですが、実は緑茶と同じお茶の葉っぱから作ることが出来ます!
もちろん、ウーロン茶を作ることも可能です。
品種的に、緑茶に向いていたり、紅茶に向いていたりはしますが、お茶の樹の葉っぱであれば緑茶も紅茶もウーロン茶も作ることが出来るのです(^^)/
今回は、紅茶にスポットを当てて、家庭で簡単にできる紅茶の作り方などを紹介したいと思います!
紅茶は「発酵茶」と言われます
紅茶の作り方に入る前に、紅茶について簡単に説明したいと思います。
同じお茶の葉っぱから緑茶・紅茶・ウーロン茶が作れると言いましたが、それぞれ特徴は全く違います。どこで、これらのお茶が異なったお茶になるのかですが、実は製造方法が違っているのです。
専門的に言うと、お茶の葉っぱを発酵させるか、させないかの違いになります。
※お茶の発酵とは、お茶の葉っぱに含まれている酸化酵素を働かせることを指します。微生物や菌による発酵ではないのですが、お茶の場合では昔から酸化酵素が働くことを発酵と言っています。
緑茶は酸化酵素を全く働かせずに作るお茶…。
逆に紅茶は、酸化酵素を最大限に働かせて作るお茶となります。ちなみに、ウーロン茶は両者の中間に位置するお茶です。
そのため、専門的に緑茶のことは「不発酵茶」と。紅茶のことを「発酵茶」ウーロン茶は「半発酵茶」と分類します。
では、どのようにしたら「酸化酵素」を働かせることができるのか…?
この点が疑問になると思いますが、紅茶の作り方と共に解説していきたいと思います。
材料・道具など
お茶の葉っぱ
大きめのザル・カゴ
ビニール袋(ゴミ袋など)
タオル2枚
電子レンジ/フライパン/ホットプレートのどれか
お皿
紅茶用の葉っぱの収穫
緑茶、特に普通蒸し煎茶を作る場合は、「みる芽」と言って若くて柔らかいお茶の芽が適しています。
しかし、紅茶の場合は少し違っているのです!
紅茶に適しているお茶の芽は、完全に伸び切って少し硬くなり始めた頃の芽になります。
黄緑色から濃い緑色になり始めた葉っぱでも紅茶を作ることが出来るので、少し硬くなり始めた芽を使用するのがおススメです。
今回収穫したお茶の芽は、二番茶で収穫しなかった物。
小さなカマキリの姿が、ちらちらと見えました!
収穫はお茶の芽の状態、葉っぱの状態を見ながら、1つ1つ手で摘み採っていきます。
本来作るはずの煎茶であれば問題がないのですが、煎茶向きの収穫適期から約2週間以上経過した芽は、害虫の住処になってしまう事があります。
特に、ガの幼虫が住み着いていることがあるので、イモムシがいない葉っぱが混入しないように注意します。
このように、葉っぱが巻かれていたり、くっついている物は注意してください!
中にイモムシなどがいることがあります。
収穫したお茶の芽、葉っぱは、カゴやザルに入れて直射日光が当たらないように保管してください。
ちなみに、葉っぱが2~3枚ついた状態で収穫するのがおススメです。
葉っぱが大きい場合は、葉の部分だけ(茎は取り除いて)収穫してもOK!
樹から摘み採った葉っぱは、まだ生きている状態です。
光合成もしていますし、呼吸もしています。
ビニール袋やボールなどに入れてしまうと、葉っぱが呼吸するときに出る水分により結露が発生することがあります。
また、新鮮な空気に触れることも出来ないため、葉っぱの温度が上昇!
お茶の品質を低下させてしまうため、風通しの悪い容器でお茶の葉っぱを保管することは避けてください!
紅茶づくりの要 萎凋工程
緑茶を作る場合は、葉っぱを収穫したらすぐに蒸したり釜で炒り熱を加えます。
熱を加えることで、お茶の葉っぱが変質してしまう事を防いでいるのです!ちなみに、川根町上河内地区では、収穫してから6時間以内に蒸すようにしています。
教科書的にも、最長でも12時間から18時間以内に、熱を加えた方が良いとされています。
しかし、紅茶やウーロン茶を作る場合は、葉っぱをすぐに蒸したり炒ることはありません!
萎凋(いちょう)という作業を行い、紅茶やウーロン茶にする下準備をするのです。
ちなみに、手作りの紅茶を作る場合は、特別な機械や道具は必要ありません。
紅茶とウーロン茶の萎凋の行い方は少し違うのですが、今回は紅茶づくりをする場合の萎凋を解説します。
※萎凋は、葉っぱの中の水分を減少させ、酸化酵素の働きを盛んにさせる工程になります。
手作り紅茶の萎凋の方法はとても簡単!
収穫した葉っぱを、カゴやザルに入れ風通しの良い、日の当たらない場所に置いておくだけです。
ただし、エアコンの風が直接当たる場所では、葉っぱが乾きすぎてしまう事があります。そのため、エアコンを付けている場合は、風が直接当たらない場所にしましょう!
また、葉っぱを厚く積んでしまうと、熱が内部にこもってしまいます。
葉っぱは5㎝程度の厚みになるようにするのがポイントです。
ちなみに、紅茶を作る工程で最も時間がかかるのが、この萎凋工程になります。
葉っぱの状態や気温などの環境にもよりますが12時間程度は必要です。長い場合は、18時間を超えることも…。
もしお昼頃や午後にお茶の葉を摘んだ場合は、夜通しの作業になってしまいますね…。
このような場合は、お茶の葉を入れた容器と濡れたタオルを大きめのビニール袋に入れ、冷蔵庫で保管すると良いでしょう!
葉っぱが変化するスピードを抑えることが出来るので、作業の続きを翌日にすることが出来ます。
冷蔵庫は温度が低いので葉っぱの変化を抑えることが出来ます。
しかし、そのままの状態で冷蔵庫内に入れてしまうと、葉っぱが乾燥してしまいます。
そこで乾燥防止のために、濡れたタオル(高湿度にするため)とビニール袋を使用するのです。
時間がかかる萎凋工程ですが、時間の経過とともに葉っぱに変化が現れてきます。
具体的には、葉っぱの中の水分が減るのでカサが減ります。
また、萎れたような見た目になりますね。
ちなみに、萎凋する前はこのような状態でした↓
比べると一目瞭然ですね。
葉っぱ全体が萎れてきたら、均等に水分が減るように、2時間に1回ほど葉っぱを攪拌してあげます。
葉っぱに傷が付いてしまうと、均等に葉っぱが変化しないため、手で優しく触れることが重要です!
萎凋工程の終わりのサインは、葉っぱの色の変化。
このように、お茶の葉っぱが茶色っぽい色に変化していきます。
また、茎の部分にシワが寄るのもサインの1つです。
さらに、香りにも変化が生まれます。
紅茶は花やフルーツを彷彿させる甘い香りが特徴ですが、萎凋が進むにつれて葉っぱから漂う香りが甘っぽく変化します。
葉っぱの色が茶色に…
茎のシワ
花やフルーツの様な甘い香り
これらのサインを見逃さないようにしましょう!
これらの特徴が揃ったら、萎凋工程は終わりです。次の行程へと移ります。
(次の行程は次の記事で投稿します)
※萎凋をやりすぎてしまうと、香りが悪くなります。ひどい場合は、雑巾の様な匂いになってしまうため、注意が必要です。