お茶の栽培では1年間に1回以上の収穫を行います。
静岡県内のお茶農家は、新茶とも言われる「一番茶」、その後に収穫できる「二番茶」、秋から冬にかけて収穫する「秋冬番茶」の計3回行う農家さんや組織が多いです。
おかのや農園のある川根町上河内地区では、1年の収穫は2回まで…。
一番茶と二番茶の収穫を行っています。
1年に数回収穫を行うことが出来るお茶ですが、その中で最も重要なのが一番茶(新茶)となります(^^)/
一番茶の芽が伸びる枝は、前年の夏に伸びたお茶の芽から…。
そのため、前年の夏に伸びる芽をしっかりと守り育てることが、品質の高い一番茶を作ることに繋がります!
一番茶の収穫へ向けたお茶づくりは、一番茶を収穫する半年以上前から始まっているのです。
上河内地区では、7月下旬から三番茶芽が伸び始めます。
この芽が生長し、成熟した枝葉になり、翌年の春に一番茶の芽を伸ばすため、一番茶づくりは収穫の9カ月ほど前から始まることとなるのです。
9か月間の間には様々な作業がありますし、当然季節も移り変わります。
今回は、9か月間に行う茶園管理のポイント3つの段階に分けてご紹介したいと思います!
第一段階
第一段階は、翌年の春に一番茶(新茶)を伸ばす枝を育てる期間になります。
7月下旬から暑さ厳しい期間を経て、秋にナラシ作業を行うまでの期間です。
この期間は、降水量も多く気温が高い環境です。
そのため、害虫や病気が発生しやすい状況とも言えます…。
害虫はある程度の気温がある方が活発に活動しますし、病気はカビが原因なので高温多湿化では必然的に発生しやすくなってしまうのです。
もし、害虫や病気の被害に遭ってしまうと、お茶の樹は元気に枝葉を伸ばすことが出来ませんし、相当なストレスになります。
そのため、人にも環境にも優しく安全な農薬を必要最低限の量だけ使用しお茶の葉を守ることが重要となるのです(^^)/
また、土づくりのために苦土石灰を撒き、土の状態をお茶の樹が育ちやすい環境に整えたりもします。
夏の間、元気にお茶の枝葉を育てることが出来たら、次に秋にナラシ作業を行います。
伸びた枝葉をカットし、お茶の樹の表面を整えることで、翌年の春に一番茶の芽が伸びる土台を準備するためです。
翌年春に芽が伸びる土台を整えることが出来たら、第一段階は終了!
続いて秋から冬、そして春までの越冬期間の第二段階に移ります。
第二段階
第二段階は、お茶農家にとっては余裕ができる季節です。
そのため、1年間の振り返りや経理をしたり、来年の肥料や農薬などの使用を考えたり注文を行います。
ただし、全く農作業がない訳ではありません。
この時期になるのは、病気と害虫からお茶の樹を守ること!
冬の間は強い風が吹くこともあり、霜が降りることもあります。すると「赤焼病:あかやけびょう」という病気が発生するリスクが高まります。
もし感染・発病すると、葉っぱが赤くなり枯れてしまいます。
一番茶を伸ばすために重要な葉っぱが枯れてなくなってしまうため、非常に怖い病気です(>_<)
赤焼病は、お茶の樹の病気では珍しく「細菌」を原因とした病気になります。
そのため、細菌に対応することが出来る農薬を使用する必要があるのです。
基本は有機栽培でも使用できる安全な農薬、ボルドー剤が主となりますが、抗生物質も含まれている物を使用します。
人間と同じく細菌に対処する薬は抗生物質!!
農業用の抗生物質入りの農薬を散布して葉っぱを守ります!
また、冬越しするダニ(葉っぱなどから樹液を吸う害虫です)を対象とした農薬を散布したりもします。
こちらも使用するのは、有機栽培でも使用できる物!
安全性と環境に配慮してお茶づくりを行います。
これらの作業が主となり、長い冬を超えたら、いよいよ第三段階に入ります。
第三段階
第三段階は、お茶の樹が休眠から覚めて活動し始める頃から始まります。
この時期に行うのは肥料撒きがメイン!
1年間のお茶の生長に合わせて肥料を施していきます。
また、新芽が霜の影響に遭いやすい季節でもあります。
そのため、『防霜ファン』という茶畑に設置された大型の扇風機を動かし、お茶の芽を霜から守ることも重要です。
芽が膨らみ、確実に生長していることが分かる季節なので、前年7月下旬からの作業が実る瞬間になります(^^♪
今後は第二段階に
ナラシ作業が終了し、一番茶へ向けた作業は第二段階へ…。
少し余裕ができる季節になりますが、お茶の樹は盛んに光合成を行い、栄養分を作り蓄える非常に重要な季節です。
夏の間も活発に光合成を行いますが、気温が高いことで呼吸も活発に…。作る栄養分の量も多いですが、消費する量もある程度あります。
そのため、夏よりも秋から冬にかけての方が、栄養分をたくさん蓄えることが出来るのです(^^)/
作業も、お茶の樹の生長も翌年の一番へ向けてさらに動きます!