2020年の2月は連日新型コロナウイルス関連のニュースがトップニュースとして報じられていましたね。
国内そして世界的にも大きく情勢が変化した1か月間だったと思います。
早く終息して欲しいところですが、まだまだ先が見えない状態…。
直接的な影響・間接的な影響も今後はより大きくなっていくのでしょう。
マスク不足は農業用品店でも起きているようです。
店員さんから聞いた話では
「農薬散布用のマスクも購入してく方がいるようで在庫が無くなっている…」
とのことでした。
今後の動向を常に気にしていくと共に、こまめな手洗いなど自分で出来る対策はきちんと実施していきたいと思います。
2月から本格的なお茶づくりスタート
お茶の樹は、気温が下がる冬の間は休眠しています。
そのため12月から1月にかけては、あまり農作業が無い「農閑期:のうかんき」となるのです。
気温が下がること、日照時間が短くなることで、お茶の樹は自ら生長をストップさせ休眠に入ります。
休眠中は新しく芽や根を伸ばすことは無く、光合成と呼吸をしながら春が来るのを待っているのです。
しかし、春になり気温が上がり始めると、休眠から目覚め少しずつ活動を始めます。
暖かい地域であれば休眠から目覚める時期も早まるのですが、川根町上河内地区は比較的寒く寒暖差が大きいため、休眠から目覚めるのは大体3月上旬頃…。
休眠から目覚めたお茶の樹は、まず新しく根っこを伸ばし、肥料成分や水分を活発に吸収するようになります。
蓄えた栄養分と吸収した栄養分を新芽に送り、芽を伸ばす準備を整えていくのです。
今年は記録的な暖冬傾向により、1週間から10日ほど早まったかもしれませんね(^^♪
お茶の樹が休眠から目覚めるタイミングを見計らって、立春を迎える頃から一番茶(新茶)の収穫へ向けた作業が本格的に始まっていきます。
2月に行った主な作業は
・春の肥料まき1回目
・赤焼病対策として銅剤散布
・立ち葉・遅れ芽の除去
・防霜ファンの点検
などになります。
一番茶(新茶)の収穫へ向けたお茶づくりが本格化する時期…。そのため行う作業も盛りだくさんです(^^)/
そのため、パート①とパート②の2回に分けて投稿させて頂きたいと思います。
(パート①は”春の肥料まき1回目”と”赤焼病”についての投稿です)
春の肥料まき1回目
一番茶(新茶)の収穫へ向けて、まず行うのが「肥料まき」です。
行うのは2月の上旬。春に行う肥料まきなので『春肥』と呼ばれる作業になります。
春の肥料まきは、上河内地区では2回に分けて行っています。
1度にまとめて肥料をまいてしまうと、肥料の成分量が多くなり過ぎてしまい
・根っこにダメージを与えてしまう
・大雨が降ったときなどに肥料成分が流亡してしまう
などのリスクが高まります。
特に肥料成分の流亡には気を付けなければなりません!
畑の外へ肥料成分が流れ出てしまうと周辺の環境に影響を及ぼすだけでなく、お茶の樹も吸収できる肥料成分量が減ってしまいます。
環境への影響が出るだけでなく、お茶の樹も肥料不足に陥ってしまいデメリットしかないのです!
肥料をまく回数を分けることで作業の量は増えてしまいますが、お茶の樹や環境へ影響を及ぼすリスクを下げることが出来ます。
また、肥料の回数を分けることで安定して肥料成分を供給できるようになるため、お茶の樹も安定的にしっかりと吸収できるため、品質の良いお茶の芽が育ってくれるのです(^^♪
もちろん周辺の環境に影響が出ないように、肥料も必要最低限の量しか使用しません。
お茶の樹や土の状況を観ながら、適切な資材を適切な量だけ使用し、施すようにしています。
春の肥料まき1回目で使用した肥料は、有機質肥料を主体とした配合肥料です。
「菜種かす」や「魚粕」などの有機質肥料をメインに、有機質肥料だけでは不足しがちな成分を補給するために「化成肥料」を混ぜ合わせています。
有機質肥料70%・化成肥料30%の割合となっています。
有機質肥料を主体とすることで、お茶の品質が良くなるのです!
また、土にいる微生物などのエサになるため、土をより豊かな状態にする役割もあります。
微生物に分解されて吸収できる成分に変化する特徴もあるため、ゆっくりジワジワと効果が続き、お茶の樹や土・周辺の環境にも優しい肥料となっています。
もちろん、品質の良いお茶を作ることが出来れば、生産者としても嬉しいですね(^^♪
有機質肥料を主体にするとコストが掛かるのですが、たくさんのメリットがあるため有機質肥料を主体としています。
ちなみに、春の肥料まき1回目は有機質肥料を主体とした物なので、効果が出るまでに時間がかかります。
土にいる微生物に分解されないと効果を得ることが出来ないため、時間がかかるのです。大体3週間から1か月ほどの時間が必要になるとされています。
そのため2月上旬にまくと、効果が出始めるのは2月の末から3月の上旬頃に…。
ちょうどお茶の樹が休眠から目覚め、根を伸ばし始める時期と一致します。
肥料の効果が出始める時期とお茶の樹が休眠から目覚めるタイミングが重なるように、肥料をまく時期を調節しているのです。
赤焼病対策
2月の中旬から下旬頃にかけて行うのが『赤焼病:あかやけびょう』の対策になります。
「赤焼病」というのは、お茶の樹が感染する病気の1つになります。
大半の病気は「カビ」を原因としているため、湿度・気温が高くなる夏から秋にけての発生が多いです。
しかし「赤焼病」はちょっと特殊で”細菌”を原因とした病気になります。
感染・発病すると葉っぱが”赤の褐色”あるいは”焦げ茶色”のような色になり、枯れて落ちてしまいます。
多発すると新芽にも感染してしまい芽が死んでしまうので、収穫量が大きく減少する事もある怖い病気です。
※お茶の品質・安全性には影響ありません。
発生する時期は秋と春が多いのですが、特に気温が上がり始める2月から3月頃にかけて多くなる特徴があります。
①冬や春の強い風で葉っぱが擦れ傷が付く
↓
②雨が降った時に病原菌が水に乗って広がる
↓
③傷口から病原菌が侵入
↓
④感染・発病
という流れで病気が広がってしまいます。
また冬の寒さによる影響や霜により、より発生しやすくなる特徴もあるようです。
今年は暖冬による影響か、2月の中旬には発病が確認できました。
そこでこれ以上病気を広げないために、『銅剤(ボルドー剤)』の散布を行いました!
『銅剤(ボルドー剤)』は有機農業でも使用が許可されている安全性の高い農薬です。
また、植物の生長に必要な”微量要素”を補給してくれるため、サプリメント的な一面も持っています。
銅剤が働くのは②の段階。
病気を治す働きは無いのですが、病原菌が侵入するのを防ぐことで病気から作物を守ります(^^)/
銅剤を散布すると、雨が降るなど葉っぱが濡れることで「銅イオン」が溶け出します。
そして雨などを水分を利用して伝染しようとしている病原菌を退治することで、病気に感染するのを防ぐのです。
病原菌の様々な場所を攻撃して退治するため耐性菌の発生は無く、安全性が高く、環境にも優しい!!
そのため非常に優秀な農薬だと思っています。
ちなみにその後ちなみに、病気が広がっている様子は見られないため、散布による効果があったのだと思います(^^;)
パート①まとめ
2月は一番茶(新茶)の収穫へ向けてお茶づくりが本格的にスタートする時期になります。
まず行うのは「春の肥料まき1回目」
お茶の樹の生長、お茶の品質、土づくりなど様々なものに影響するため、一連の作業の中で最も重要なものになります!
特に肥料をまくタイミングが重要になるため、天気予報(長期予報)を参考にして行う時期を調節しています。
今年は暖冬傾向なので、やはり判断が難しかったですね!
気温はお茶の樹の生長だけでなく、土の状態にも大きく影響するため、今年は平年よりも少し早めに施しました!
そして2月の中旬に行ったのは『赤焼病』対策としての銅剤散布。
こちらも暖冬の影響により、平年よりも発生時期が早まり、発生量も僅かに多かったです。
病気が蔓延すると収穫量が減少するリスクが高まるため、対策は欠かせません。
『銅剤』を散布することで病気の拡大を防ぐことにしました。
農薬に関しては、不安に感じる方も多いことでしょう。
そのため、おかのや農園では
『安全で環境に優しい農薬を必要最低限のみ使用すること』
『栽培の様子を出来る限り発信すること』
を心がけています。
お茶の安全性は確保できているため、お茶を飲んでくれる方が安心できるように、しっかりと情報発信をしていきます。
以上「2月のお茶づくりまとめ編 パート①」でした。