お茶の樹には様々な品種があり、栽培の観点から早生品種・中生品種・晩生品種に分けることが出来ますが、その特徴が色濃く出ている樹を見つけました!
一見同じように見えるお茶の樹ですが、特徴が全く違う事について投稿していきたいと思います。
石垣の間から…
新しいお茶の品種を作り出す時は、お茶の実(種)を使用します!
これはお茶の樹がもっているある性質を利用するからです。
お茶の樹は、同じ樹の花粉では受粉しない性質『自家不和合成』があります。
そのため、お茶の樹が実を付けるためには、他の樹の花粉が必要になるのです。
違う樹から花粉がやって来るため「やぶきた」から出来た種を育てたとしても、その樹は「やぶきた」になりませんね!
「やぶきた」から出来た種には「やぶきた」の遺伝子も一部含まれていますが、授粉した相手の情報も含まれるため新しい特徴を持った樹に育つのです!
そのため新しい品種を作り出す時にはお茶の種を利用し、同じ品種を増やす時には「挿し木」と言われる方法を取ります(^^)/
そんなお茶の種が茶畑周辺の石垣の隙間に入り込み、いつの間にか育っている樹があります。
隣同士でも全く違う!
下の写真は、石垣の隙間に落ちた種から育ったお茶の樹になると思います。
植え付けた記憶はないですし、植えた話も聞いたことがありません。
そのため、自然と育ってきたのでしょう!!
この写真を見ると、右側の樹と左側の樹の様子が大きく異なっています。
一見同じ樹のように見えますが、ちょうど中央部分で樹が分かれているような状態になっているのです。
低いアングルから見ると、その違いが明確に…!
伸びている新芽の大きさが全く違います。
左側のお茶の樹の芽は大きく育っているのに対して、右側のお茶の樹の芽はまだまだ小さな状態です。
また左側のお茶の樹の芽は芽の数が少ない一方で、1つ1つの芽が太いですね!
※芽の数が少ない一方で、1つの芽は大きく太いことを『芽重型:がじゅうがた』と言います。
芽の大きさ・開いている葉っぱの枚数からも、生育も左側の樹の方が早いのだと思います!
このように一見同じように見えるお茶の樹ですが、芽の伸び方など全く違った特徴があるのです(^^♪
新しい品種を作り出すのは…
お茶の樹の種は、それぞれ特徴が異なった樹に育つため、新しい特徴を持った樹を作り出すことは難しくありません!
しかしその中から、新しい品種として登録される物はほとんど無いのです。
品種として登録する以上は、品質が良く収穫量もある程度必要になります。
また、病害虫に弱すぎてしまうと育てるのも難しいですね…。気温や降水量などの気候的な要因も大きいです。
例えば、病害虫に強くて大きく育つ樹があったとしても加工すると苦味や渋味がとにかく強く、品質が悪ければ新しい品種として登録されるのは難しいでしょう…。
逆にどんなに品質の高い特徴があったとしても、病害虫に弱ければいつの間にか枯れてしまっている事も…。
ある程度の弱さであれば栽培技術によりカバーできるのですが、あまりにも病害虫に弱い木は自然に淘汰されてしまいます。
もちろん、発芽はしたものの枯れてしまう樹もあります!
新しいお茶の品種を作り出すためには、根気や長期的な視点が重要になります。
新品種を作り出すためには20~30年程度の年月が必要だとされているため、世に出てきた新品種には開発に携わってきた多くの人の想いが込められているのです!