今年はコロナの影響もあってか、家庭菜園を行っている方が多いようです。
心を込めて育てた野菜が収穫できると非常に嬉しくなりますね(^^)/
しかし、病害虫の被害に遭うと最悪枯れてしまう事も…。
枯らしてしまったり病害虫の被害に遭わせてしまうと、毎回申し訳なく思いますし、何よりもショックを受けます。
これからの時期は高温多湿。
このような環境下では野菜が病気になりやすくなってしまいます…。
野菜を守るために
農薬を初めて使用する…
という方もいらっしゃるかもしれませんね。
そこで今回は農薬のラベルの見方について、ダコニールという農薬のラベルを例に説明していきたいと思います。
農薬取締法について
まず初めに農薬取締法について簡単に…。
一部の方は農薬の使用者に対し
「農薬をガンガン使用している」
というようなイメージを持っていますが、これは間違いです。
農薬は決してガンガン使用できるものではありません!
「農薬取締法」という法律に基づき、使用できる作物や対象となる病害虫、使用濃度や使用回数など、厳しく使用方法が定められているのです。
もし「農薬取締法」に違反すると罰則も当然あります。
(三年以下の懲役または100万円以下の罰金)
そのため、農薬を使用する際はしっかりと勉強をすることが重要なのです!
使用作物
農薬のラベルを見る時、まず最初に見るべきポイントは作物の欄です。
ラベルでは一番左側に書かれています。
この作物の欄に名前がない場合は、原則その農薬を使用することは出来ません!
育てている野菜に適応があるのか…
まずラベルの作物の欄を確認してみてください。
トマトとミニトマトなど、同じトマトでも登録が違っている事もあるので注意が必要ですね。
ちなみに、有機JASに登録されている農薬であれば、作物の欄に名前がなくても使用できます!
また「野菜類」や「果樹類」と、大きなグループでまとめて登録されている事もあります。この場合も使用することが出来ます。
適用病害虫名
作物の隣の欄に書かれているのは『適用病害虫』の名前です。
農薬は作物ごとに安全性や効果が試験され、初めて登録されるものです。
そのため、防除したい病害虫に適用があるのか…?
「適用病害虫名」の欄に名前があるかチェックすることが大切です。
作物の欄に防除したい作物の名前があり、さらに適用病害虫名の欄に防除したい病害虫の名前があれば、その農薬を使用できる事になります。
逆に作物の欄に名前があったとしても、適用病害虫の欄に防除したい病害虫の名前が無ければ使用は出来ません!
例えば、茶の赤焼病という病気を防除したい場合…
作物として茶の登録はありますが「赤焼病」の登録はないため使用できません。
希釈倍率
安全な作物を育てるため…。
そして散布する人の安全性を守るために、特に重要なのが『希釈倍率』の欄です。
希釈倍率とは、農薬をどのくらいの倍率で薄めるかを指示しています。
小さな欄ですし文字も小さいですが、非常に重要なので見落とさないように注意してください!
例えば、
薬液が1L必要で希釈倍率が1000倍
と指示されていた場合は…
水1Lに対し1mlの農薬を薄めることになります。
指示された倍率よりも濃くして散布するのは法律違反になるため注意してください!
また、薄くし過ぎてしまうのもおすすめできません。
法律上は問題ありませんが、抵抗性や耐性を生み出す可能性が高いため、指示された倍率で薄めるのが一番です。
ちなみに500~1000倍というような場合は、この範囲内で薄めることが可能です。
範囲内であれば効果があるため、私は薄くして(この場合であれば1000倍)で散布することが多いです。
使用液量は、土壌寒中や土に混ぜ込む場合であれば指示に従って行います。
薄めて散布する場合であれば、葉がしっかりと濡れる程度出来れば十分です!
(ボタボタと垂れるほど散布する必要はありません)
使用時期
農薬は、光や微生物などの働きによって必ず分解されるように出来ています。
散布後どのくらいの期間を空ければ収穫できるようになるのか…
それを指示しているのが『使用時期』になります。
散布から収穫まで、どのくらいの日数を空けるのかを指示しています。
例えば10日とあれば、散布から収穫まで10日間は必ず空ける必要がありますね。
そのため、農薬を散布したら必ず記録をしておいてください!
ちなみに『前日』と書かれた作物も一部でありますが、これは『24時間』という意味になります。
24時間が経過してから収穫するようにしてください。
使用回数
農薬はバンバン使用できません!
どんなに効果が高い農薬であっても『使用回数』の制限があります。
使用回数は文字通り、農薬の使用回数を指示しています。
この時注意するのは…
農薬の商品名ではなく成分ごとに使用回数がカウントされる
という点です。
商品名は違っても、成分名は同じ農薬があるため、どのような成分が使用されているのかを必ずチェックしてください!
また、作物によって使用回数をカウントする期間が違います。
野菜であれば種まき・苗の植え付けから収穫終了まで。
果樹などであれば収穫終了から次の年の収穫終了まで。茶やニラは収穫から収穫までとなります。
例えば、一番下に書かれている落花生の場合
種まきから収穫終了までに4回使用することが出来ることになります。
使用回数を超えて使用することは法律違反です!
決してバンバン使用することは出来ないため、注意してください。
その他に…
その他にラベルには…
使用時の服装や散布方法の注意点
周辺環境への注意点
誤って飲んでしまった時などの対処法
などが書かれています。
農薬を安全に使用するために必要な事は、実は全てラベルに書かれているのです!!
最後に
農薬の使用に関して不安に感じる方も多いと思いますが、正しい知識を持ち適切に使用すれば決して恐れることはないです。
農薬に関して不安を煽るような記事が多く見受けられますが、これらは都合の良い部分のみを切り出したり、誇張して書かれたものがほとんどです。
残留農薬基準値を表示し「これだけ農薬が含まれている」と思わせるような記事もありますが、基準値はあくまでも超えてはならない一線になります。実際は検出されることはほとんどありませんし、検出されたとしても圧倒的に基準値よりも低い数値です。完全に情報や印象を捜査していると言えます。
不安や恐怖を煽れば人は動きます。
人が動けばお金が動くため、不安を煽るような記事が増えているのでしょう!
農薬や添加物などの化学物質の危険性を訴えた「沈黙の春」は有名な作品ですが、しっかりと読むと作者は化学物質を『正しくより深く理解し適切に使用すべきだ』と訴えています。決して『農薬や添加物を無くそう』と訴えている訳ではありません。
本を読んでどのように感じるかは個人の自由ですが、農薬や添加物の廃止を訴えるために「沈黙の春」が利用されているのは少し残念ですね…。
私は農薬の使用は車の運転と似ていると思っています。
法律はもちろん、ブレーキやハンドリングなど車両の特性・事故のパターンなどをしっかりと勉強しておきます。
使用する車をきちんと理解し事故の傾向を理解しておけば、事故を起こすリスクはかなり低くできるでしょう!
そうすれば運転に注意をする必要はありますが、運転することを恐れる必要はないと思います。
農薬は危険だ!!
と、イメージだけで判断するのではなく、正しい知識を身につけ正しい情報をより多く吸収することが、何よりも大切なのではないでしょうか…。