いよいよ11月が始まりました。
今月は本格的な秋そして冬へと季節が変化する時期になりますね。
個人的に11月になると
「今年も残り僅かになってきた…」
というような感覚にもなってきます。
年末や年越し感も徐々に強まっていく時期になるでしょうか。
お茶づくりでは10月までで2020年に行うべき最低限必要な作業は終了しています。
今回は来年の一番茶へ向けて重要な作業が目白押しな10月のお茶づくりについてまとめて投稿したいと思います。
10月上旬「ナラシ作業」
9月の下旬から行っているナラシ作業は10月上旬頃まで行われます。
秋のナラシ作業は夏の間に伸びた枝葉をカットして来年の春に伸びる芽の土台を完成させる作業です!
また芽の生育スイッチを入れる働き、病害虫の発生を予防する働きなどもありますね。
四番茶芽が伸びて黄緑色だった茶畑は作業をすることで、刈り整えられた濃い緑色の茶畑に一変。
落ち着いた雰囲気で整えられた美しさを感じる見た目になりますね(^^)/
この状態で冬を越し、来年の4月中旬以降になると再び黄緑色の茶畑になっていきます。
10月上旬 緊急防除
10月上旬には台風が接近・上陸しそうな予報が出ました。
結果として南寄りの進路を進み茶畑には大きな影響は出なかったのですが、台風のように強い風を伴う雨が降ると『赤焼病』という病気が広まりやすくなってしまうのです。
赤焼病は強い風により葉っぱが擦れて小さな傷が出来たり、ナラシ作業の時に出来た傷口から雨水などを介して病原菌が侵入します。
そのため台風がたくさんやって来ると病気が広まりやすくなってしまうリスクがあるのです(>_<)
結果として台風は上陸しませんでしたが、当時は上陸・直撃しそうな予報だったため急遽防除作業を実施する事にしました。
10月中旬 化粧刈り作業
10月中旬に行ったのは「化粧刈り」といわれる作業になります。
9月下旬から10月にかけて行ったナラシ作業で僅かに刈り残してしまった葉っぱ、ナラシ作業後に伸びてきた四番茶芽などを刈り落とす作業になりますね。
ナラシ後には…
ペラペラと刈り残してしまった葉っぱや
遅れて出てきた四番茶芽が所々に見られます。
極端に飛び出ているわけでは無いので大きな影響にはならないのですが、もしこのような葉っぱや芽が来年の春の収穫時に混入してしまうとお茶の品質を低下させてしまいます。
また病害虫の被害を受けやすい部分にもなりますね。
そこでこのような葉っぱや芽を刈り落として、お茶の樹の表面をよりキレイに整える『化粧刈り』作業を行うのです。
作業前のお茶の樹の様子はこのような感じになります。
対して作業後のお茶の樹の様子はこちら…。
僅かな違いですがお茶の樹の表面がより整えられました。
葉っぱの傷口もよりキレイにすることが出来るので病原菌の侵入を防いだり、来年の春の収穫時に古い葉っぱが混入するリスクをより低くすることが出来ますね!
古い葉っぱの混入を防ぐことが出来ればお茶の品質を維持する事にもなりますし、結果として収穫作業も行いやすかったりします(^^♪
少し地味な作業になるのですが重要な作業になるのです!
10月下旬 赤焼病防除
10月下旬に行ったのは『赤焼病』という病気の防除です。
植物が感染する病気のほとんどは「カビ」由来になります。
お茶の樹が感染する病気もほとんどカビ由来なのですが、赤焼病だけは例外なのです。
赤焼病は細菌由来の病気で、秋から冬にかけてと2月から3月頃の春の時期に発生しやすい傾向があります。
感染した葉っぱが赤く変色し、枯れて落ちてしまいますね(>_<)
僅かな発生であれば問題ないのですが、多発するとたくさんの葉っぱが枯れて落ちてしまうため、お茶の収穫量が減少するなどの影響が出ます。
また芽も病気に感染して死んでしまう事もあるため影響は大きいです。
病原菌は雨や露で葉っぱが濡れた時に、葉に出来た傷口から侵入してきます。
そのため、病原菌が侵入するのを防ぐための防除作業を行いました!
使用したのは銅剤といわれる資材です。
葉っぱが濡れた時に銅イオンが溶け出して病原菌を退治してくれる効果があります。
病気を治す効果は無いのですが病気に感染する効果はあるため、病原菌が侵入する前に散布しておくことが重要になりますね。
台風がやって来る前に防除作業を行ったのはこのためなのです。
大体ですが300㎜程度までの雨。雨が降らなければ2・3週間程度の間、病原菌の侵入を防いでくれる効果があるとされています。
ただし、それ以上になると分解されるなどして効果は得られなくなってしまいますね…。
赤焼病は11月中旬頃まで発病・感染しやすいとされているので今回防除作業を行いました。
最後に…
お茶の樹は冬になると休眠に入ります。
今の時期は休眠や来年の春に備えて栄養分をしっかりと蓄えたり、新芽を充実させていく時期になりますね(^^)/
お茶の樹を見ると非常に小さいですが、来年の春の伸びる芽が膨らみ始めています!
この小さな芽の内部では芽が伸びた際に開いていく葉っぱが作られていたり、より大きく生長できるように芽を充実させているのです。
約6か月後の今頃は一番茶(新茶)の収穫が行われているか、始まろうとしているか…といったタイミングになります。
一番茶の収穫までに行う作業はまだまだありますが、2020年に最低限行う必要があるものはすべて終了…。
今後は草取りや敷き草などを行いながら、お茶の樹が休眠に向かっていくのを見守っていく事になります。