植物が感染する病気は
- カビ
- 細菌
- ウイルス
を由来とします。
その中で特に多いのが「カビ」になりますね。
カビが病気の原因となるので、ある程度温度が高く湿度が高い環境ほど病気になりやすいと言えます。
そしてそれはお茶の木も例外ではありません。
お茶の木が感染する病気のほとんどはカビ由来であり、梅雨時期から秋にかけて病気が発生しやすい季節となります。
特に雨が多く降る梅雨時期の状況、芽の生育状況で病気の発生傾向が変わることになるのです。
基本的に芽が伸びる時期に雨が降り続くと病気になりやすくなると言われていますね。
そして病気の怖い所は、感染してから目に見える症状が出るまでに時間がかかること!
早い病気では1週間程度で葉に症状が出てきますが、長いと30・40日程度かかることもあります。
一度変色した葉は元に戻ることは無いため、病気の症状により葉の変色が始まるとショックを受けるものです。
今回は一見元気に伸びた芽が枯れてしまう「新梢枯死症」について投稿したいと思います。
※植物にとっての「治る」は、症状の進行が止まる・周辺への感染が止まることになると思います。一度変色してしまった葉が元に戻ることはありません。
ちなみに治療剤と言われるものは感染して間もなくであれば効果が高いと言われていますが変色した葉は元には戻りません。他の資材であっても同様です。
輪斑病菌による症状
新梢枯死症という症状は「輪斑病」と深い関係にあります。
新梢枯死症は輪斑病という病気によって引き起こされる症状になるのです。
この病気は葉や茎などに出来た傷口から病原菌が侵入し、短期間で発病する病気です。
葉の症状は写真のように年輪のような模様となることがあります。
気温が高いほど発病しやすい傾向があるため、二番茶以降から夏本番にかけて発生しやすくなる傾向があると言われていますね。
お茶の品種でも違いがあり、お茶の代表的な品種「やぶきた」は特に輪斑病が発生しやすいとされています。
この病気の菌が芽に入ることで発生するのが新梢枯死症。
そのため輪斑病がたくさん発生すると新梢枯死症もたくさん発生するとされています。
枝が枯れる症状
新梢枯死症の厄介な点は、感染してから目に見える変化が出るまでに時間がかかるという事です。
文字通り新しい梢が枯死(枯れて死んでしまう)する病気なのですが、症状が出始めるのは芽がある程度大きくなってから。
一見すると元気に大きくなった芽が急激に枯れて来るのです(>_<)
新梢枯死症が発生するとこのように伸びた芽が全て枯れてしまいます。
周辺の芽は緑色なのに対して、新梢枯死症になってしまった芽だけ枯れてしまいますね。
芽の先端や葉っぱへの水分供給が断たれることで枯れてしまうのです。
新梢枯死症は芽の下の方、基礎部分に輪斑病菌が侵入し発病することで引き起こされます。
少し分かりにくいですが、黒く変色しているのが分かると思います。この部分がダメになると水分の供給が出来なくなってしまい、結果として芽全体が枯れてしまうのです。
メインで育てている品種は「やぶきた」
そのためどうしても輪斑病が発生しやすく、さらに梢枯死症の発生もありますが、来年以降の生育に影響が出るほどの状況にはなっていないのは幸いなことです。
輪斑病により注意
新梢枯死症の発生を抑えるためには、輪斑病の発生を抑える必要があります。
輪斑病は葉に傷ができその傷口から病原菌が侵入し発生する病気になるため、ナラシ作業などの後に防除をすると効果的に抑えらえるとされています。
ちなみに主に使用される資材はストロビルリン系の殺菌剤になりますね。
これはキノコ由来の農薬なので安全性も高い資材です。
丁寧なナラシ作業や浅刈り作業は炭疽病やもち病など他の病気を抑える効果がありますが、逆に輪斑病を発生しやすくさせてしまうため、その点が大きなデメリットでした。
そのため、ナラシ作業をした後に防除することで輪斑病の発生を抑えることが重要となります。
しかし、近年は二番茶収穫後に浅刈りを行うだけで防除はしていませんでした。
この防除をすることで、結果として病気の発生をより減らすこと、使用する資材や作業を減らす事にも繋がる可能性もあるため、来年の改善点としていきたいと思います!