日々お茶暮らし  茶農家のブログ

川根地域でお茶づくりをしている農家のブログです

チャノキも実りの秋へ

こんばんは。

今日も川根町上河内地区では日差しが届いたり曇ったりの空模様となりました。湿度が高めなのか気温の数字以上に蒸し暑さを感じましたね。

最近は一日を通して雨が降ったり曇ったりという日は無いものの、逆に一日を通してしっかりと晴れるような日もありません。秋の高い青空を見ることはまだ出来ていないです…。

 

9月ももう少しで下旬となりますが、秋らしさを感じることがもう少し増えてくれると嬉しいですね。

 

チャノキも実りの秋に

秋はチャノキに花が咲く季節です。そして実が成熟する季節でもあります。

花と実の時期がほぼ同じなので花が咲いてすぐに実が成熟するのか…と思われるかもしれませんが、実は一年ほどの時間がかかっているのです!

今、枝についている実は昨年の秋に花が咲き受粉した物となり、今咲いている花に実が付き成熟するのは一年後の事になるのです。

 

そのため、チャノキはほかの作物と比べると花が咲いてから実が成熟するまでかなり時間がかかる方かと思います。基本的には実を取るために育てている作物ではありませんが(近年では油などを作るために実を目的に育てる場合もあります)時間がかかっている分、この光景は待ちに待ったものの感じます。

 

なお花が咲いて実が成熟するまでに一年ほどの時間がかかるため、上手く受粉出来ていなかったり何回か行う裾刈り作業により実も刈り落とされたりしているでしょう。

今出来ている茶の実はそれだけの月日を残りえて実ったものとなるのです。

 

花が咲かないように管理

ちなみにチャノキは基本的には花が咲かないように管理します。

花が咲くのは木がピンチな状態であり次世代へ種を繋げようとする傾向が強まるからであり、逆に木が順調に育っているような状態であればそれほど種を作る意味がないとされているからです。

 

ただし、どんな手入れをしていたとしても花が一切咲かないという事はほぼ無いでしょう。あくまでも花の”量”が問題であり、大量に花が咲くような状態が問題なのです。

 

以前、夏場に水やりを控えた株と適度に水やりをした株で花の付き方に違いが出るか実験したことがありますが、水やりを控えた株の方が圧倒的に多くの花を付けました。これは乾燥状態になったことで、チャノキが次世代へ命を繋ぐために種を付けようとした事によるものだと思います。

このようにチャノキの生育上、何らかの悪い影響があると花が多くなる傾向にあるため、出来る限りチャノキが育ちやすい環境を整えることが重要だと思っています。

 

厳密にいえば花を咲かせないようにするのではなく花がたくさん咲くような状況に陥らないような管理をするといった方が良いのかもしれません。

 

ちなみにお茶の品評会によっては茶園の審査があるものもあり、出品する方は花やつぼみを手作業で取り除くようです。そのような茶園はかなり手を入れているのですが、それでも花がゼロになることは無いのでしょう。

品評会という特別な場を除いて、チャノキには普通に花が見られるものなので白く可憐な花をお楽しみ頂ければと思います。ただし、あまりにも花が多い場合はどこかに問題がある可能性があるので、管理やその年の気候などを振り返ってみるのも良いかと思います。