日々お茶暮らし

お茶で有名な川根地域でお茶づくりをしている茶農家のブログです

お茶が美味しい季節になりました

雨が降るごとに最低気温がグッと

低くなっている気がする今日この頃です。

 

約半年前は新緑の季節。

木々は青々とした葉を茂らせていましたが

今では落葉が始まっていますね。

 

この季節が来ると

キレイだなという思いと同時に

少しさみしさを感じます。

 

一番茶(新茶)のシーズンも、ちょうど半年ほど前。

今飲んでいるお茶も作ってから半年が経過しました。

 

お茶の後熟

 

私の家ではパック詰めされたお茶を

日の当たらない暑くなりにくい部屋で保存しています。

 

毎年一番茶を一年分、荒茶で購入し

地域の業者さんにパック詰めをお願いしているのですが

一年分のお茶のため、なかなかの量になるのです。

 

5月下旬にはパック詰めした物が出来上がるのですが

飲み始めるのは梅雨時期あたりから。

 

そしてもっとも上河内茶が美味しくなるのは

ちょうど今頃から、つまり秋以降になるのです。

(嗜好品のため個人によって差はあります)

 

もちろん新茶シーズンに飲むお茶が

美味しくないわけではありません。

新茶らしいはっきりとした味わいで

香りもしっかりしています。

 

しかしひと夏が過ぎ、寒くなり始めた頃には

角が取れたような「まろやかな味」になるのです。

 

秋が来ると新たなパックを開けるごとに

変化してきたな、と感じることが出来ます。

近年、熟成肉がブームになりましたが

まさにその熟成のお茶バージョンです。

 

ひと夏という時間をかけて

お茶が後熟(こうじゅく)し、さらに美味しくなるのです。

 

深蒸し煎茶

 

しかし現在では

あまり後熟したお茶は販売されていません。

 

というのも昔は(家電がなかったころ)

冷蔵庫などはありませんよね。

 

そのため自然と後熟したお茶を飲むことがあったのですが

今では高性能な冷蔵庫がありますから

茶の味を一定に保つことが出来るようになったのです。

 

冷蔵庫の発展と共に

後熟したお茶を好んで飲んでいた主に関東の人たちは

お茶がマズいと感じることになったそうです。

 

そこで誕生したのが「深蒸し煎茶」です。

 

深蒸しにすることで渋味が抑えられ

甘味を強く感じるお茶になるのです。

 

また深蒸し茶が誕生したといわれる牧之原台地周辺。

 

この地域のお茶は山間地のお茶と比較すると

葉が厚く、渋味が強いそうです。

そのため普通蒸しでは評価が低かったようです。

 

そこで蒸し時間を長くし

渋味を抑えた深蒸し茶が作られたのです。

 

今では静岡県のほぼすべての地域で

深蒸し煎茶が作られています。

 

上河内茶

 

深蒸し煎茶の割合が圧倒的に多くなった現在ですが

上河内地区では昔ながらの

普通蒸し(浅蒸し)煎茶を作っています。

 

山に囲まれているため

日照時間が短く気温差もある環境なので

柔らかく香りが良いお茶に育ちます。

 

そのお茶を最大限に活かすためには

やはり「普通蒸し煎茶」でなければいけません。

 

時代と共に様々なものが変化していきますが

この普通蒸しの製法、上河内茶の伝統を

しっかりと引き継いでいきたいと思います。