着々と近付いている新茶シーズン。
日本各地から一番茶(新茶)の取引が始まった…というニュースも見聞きするようになりました。
静岡県内でも4月の下旬頃から…。
20日頃からは、続々と取引が始まるのではないかと思います。
お茶の新芽が伸びて来ると、茶畑は一面が黄緑色の新緑が眩しいほどの景色になります。
その中で、茶畑が見えなくなっている場所…。
樹に覆いを被せている場所もチラホラと見られることがありますね!
今回は、お茶の樹に覆いをして育てる方法
『被覆栽培』
について投稿したいと思います!
被覆栽培の目的
お茶の樹に覆いを被せて育てる方法は、
・玉露
・碾茶(抹茶の原料となるお茶)
・かぶせ茶
などで行われます。
お茶の樹に覆いを被せお日さまの光を一定期間遮って育てることで、うま味成分を減少させること無く育てることが出来ます。
お茶のうま味成分は、お日さまの光に当たると苦味・渋味成分に変化する特徴があるのです。
また、光合成を行おうと葉緑素を増やすため、葉っぱの色も濃い緑色に変化しますね(^^♪
玉露は強いうま味が特徴のお茶ですし、抹茶(碾茶)も濃く鮮やかな緑色と旨味が強いお茶ですが、これはお茶の樹に覆いをして育てたことによるものなのです!
ちなみに『かぶせ茶』と言うのは、玉露よりも覆いを被せる期間が短いお茶になります。
「煎茶と玉露の中間にあたるお茶」
というイメージですね。
また、うま味や葉の色が濃くなると言いましたが、香りにも『覆い香』と言われる特徴的な香りがするようになります。
覆い香は、青のりの匂いに似ている印象を受けます。
玉露などを飲んだことがある方は、特徴的な香りを感じたことがあると思います!
碾茶(抹茶)の生産量が増加
近年の抹茶ブームにより、抹茶の原料となる『碾茶』を作る生産者も増えつつあります。
川根地域でも、ここ数年で新しく碾茶の生産を始めた方がいます!
ただし、生産量が増えているのは”加工用の抹茶”です。
お菓子などに入れたりする抹茶で、お点前で使われるようなお茶ではありません。
加工用の抹茶でも決して美味しくない訳ではありませんが、両者には圧倒的な品質の差があると個人的には感じています(゚д゚)!
以前、京都の宇治で頂いた抹茶の味は、2年近く経過した今でも忘れることが出来ないほどです。
品質に影響…? 被覆方法の違い
品質を左右する一因だと思いますが、お茶の樹に覆いをする方法は主に2つに分けることが可能です。
1つはお茶畑の上に棚を作り、棚に覆いをすることでお日さまの光を遮る方法…。
もう1つは、お茶の樹に直接資材を被せる方法になります。
近年は、加工用の抹茶(碾茶)の生産が増えているため、お茶の樹に直接覆いをする方法の方がよく見られます。
一方の宇治や朝比奈など、古くからの玉露や抹茶(碾茶)の産地では棚式の方法がよく見られますね(^^)/
一般的に棚式の方法の方が、品質の良いお茶が収穫できる傾向があるようです。
お茶の樹に直接覆いを被せると、生長するお茶の芽を押さえつけてしまう事になります。
また、熱がこもりやすく、芽や葉っぱの呼吸量が増加したり、ひどい場合には葉が火傷してしまう事もあるほどです。
しかし、必要な資材の量が少なく済んだり、棚が邪魔にならないため収穫が行いやすいメリットはあります。
一方棚式の方法では、覆いをお茶の樹の間に十分なスペースがあるため、お茶の芽はストレスなく生育できます。
昔ながらの高品質な玉露や碾茶(抹茶)は、棚式で栽培されていますね!
ちなみに「かぶせ茶」の場合は、お茶の樹に直接覆いを被せることが多いようです。
覆いをする期間が短いため、問題なく生長することが出来るのだと思います。
葉っぱが白くなるほどの…
被覆栽培を行うと「葉の色が濃くなる」と言いましたが、完全に日が差し込まないようにして、さらに覆いをする期間を長くすると、逆に葉の色が白色に変化してきます。
『白葉茶』
と言われるお茶ですね。強いうま味を感じることが出来ます。
まとめ
今後、お茶の樹に黒やシルバーの覆いをした畑が見られるようになりますが、これはお日さまの光を一定期間遮って育てる『被覆栽培』と言う方法になります。
お日さまの光を遮ることで、うま味成分が苦味・渋味成分に変化することを防ぎ、葉の色を濃くすることが可能です。
現在、被覆栽培で作られるお茶は『玉露』『碾茶(抹茶の原料)』『かぶせ茶』が代表的なものになりますね。
近年は、加工用の抹茶(碾茶)の生産が拡大しているため、お茶の樹に覆いをしているのを見たら、ほとんどの場合で
「碾茶を作っている」
と捉えることが出来ると思います。
ただし、三重県などでは『かぶせ茶』の生産が盛んに行われています!
地域によっても多少が違いがありますね。