日々お茶暮らし  茶農家のブログ

川根地域でお茶づくりをしている農家のブログです

独特な香り 飲みやすい味が特徴 『釜炒り茶』について

新型コロナウイルスによる影響は、終息する気配が一切見えませんね。

先週はマスクや消毒液だけでなく、トイレットペーパーも陳列棚から見なくなりましたね(^^;)

 

マスクやトイレットペーパーの買い占めは田舎の川根地域でも起きました!

マスク不足はしょうがないと思いますが、まさかトイレットペーパーも買い占めになるとは思っていませんでしたね…。日本全国、どんな場所であっても影響が出るという事なのでしょう。

 

最近はトイレットペーパーに関しては少しずつ商品を見るようになりました!

しかし、マスク不足もまだまだ深刻な状態。私は花粉症の症状が出るため、花粉の飛散シーズンのマスク不足はさすがに辛いですね(>_<)

 

以前、花粉症対策に効果があるとされる『べにふうき』というお茶について投稿しましたが、今回はその時におススメした釜炒り製法『釜炒り茶』について投稿したいと思います!

花粉症に効果あり!? べにふうき茶について

 

緑茶とは…?殺青とは…?

「釜炒り茶」の説明をしていきたいと思いますが、その際にポイントとなるキーワードは『殺青:さっせい』という言葉になります。

そのため、まず『殺青』について説明していきます!

 

『殺青』というのはお茶の葉に熱を加えて葉の成分が変化しないようにする工程のことになります。

煎茶や碾茶(抹茶の原料となるお茶)そして釜炒り茶などの緑茶を作る際には、一番最初に行う作業です。

 

緑茶も紅茶もウーロン茶も、全て同じお茶の葉から作ることが出来る特徴があります。

お茶の葉を適切な環境で保管しておくと、葉っぱの中の成分が変化し紅茶やウーロン茶に加工できるのです。

 

対して、緑茶の場合は葉っぱの中の成分を変化させません。

収穫したお茶の葉はなるべく早く『殺青』し葉っぱの成分が変化しないようにします。

 

緑茶を作る時には重要になる『殺青』ですが、お茶の葉に熱を加える方法は…

蒸す

炒る

煮る

焼く

の4つになります。

ちなみに、この中で「煮る」「焼く」方法はほとんど行われることはありませんね。

 

「普通蒸し煎茶」や「深蒸し煎茶」は”蒸す”という文字があるように、蒸す方法により殺青しています。また、抹茶の原料となる「碾茶」や「玉露」など、日本で作られる緑茶のほとんどは『蒸す』方法により、お茶の葉の殺青を行っているのです。

 

しかし『炒る』方法により作られるお茶もあります!

 

そう!!

『炒る』方法により作られたお茶が『釜炒り茶』になるのです(^^)/

 

正式名称は「釜炒り製玉緑茶」

『釜炒り茶』は釜でお茶の葉を炒ることで作られるお茶になります。

ただこの名前はあくまでも簡単にしたものです。

「釜炒り茶」の正式名称は『釜炒り製玉緑茶:かまいりせいたまりょくちゃ』というものになります(^^♪

 

ただ長いですし、イマイチパッとしないですね…。

そのため『釜炒り茶』と略された名前で呼ばれることが多いです!

 

ちなみに「蒸し製玉緑茶」というお茶もあります。

こちらは釜で炒るのではなく、蒸して作られるお茶になります。似た名前なので「玉緑茶」を省き、『釜炒り茶』と呼んだ方が分かりやすいですね!

 

別名ぐり茶

釜炒り茶は『ぐり茶』という別名もあります。

その由来は茶葉の見た目から…。

煎茶と比べて、グリッと丸まった形をしているため、このように呼ばれることもあるのです。

ちょっと可愛らしい名前ですね(^^♪

 

蒸して作られる煎茶は、力を加えて揉みながら乾かしていくのに対して…

『釜炒り茶』は釜で炒り回転する機械の中に茶葉を入れ、コロコロ回しながら乾かしていくため、丸まった形になるのです。

 

釜炒り茶の製造工程

『炒り葉』  釜で茶葉を炒る(殺青)

 

『揉捻』   茶葉を揉み込み水分を均一化

 ↓

『水乾』   釜炒り茶独特の直火乾燥工程

 ↓

『締め炒り』 形を形成・乾燥

 ↓

『乾燥』   保存に適した水分量まで乾燥

 

地域により多少違いがあるようですが、基本的にはこのような流れで作られるお茶です!

煎茶とは全く違った工程・作業となりますね。

 

釜炒り茶は主に九州で作られることが多いです。

有名な産地は佐賀県(嬉野)や宮崎県などになります。

 

独特の香り「釜香」

釜炒り茶最大の特徴は、釜で炒られることにより発生する香り『釜香:かまか』です(^^♪

香ばしさも感じる、爽快でスッキリとした香りをしっかりと感じることが出来ます。

 

茶葉の状態でも香りますし、急須にお湯を注ぐとより一段と香りが立ちます!

お茶を淹れた後の茶殻、お茶そのものも、非常に良い香りです。

 

香りが特徴のお茶なので、熱めのお湯で淹れるのがおすすめになります!

煎茶などでは湯冷ましを行うのが良い…とされていますが、釜炒り茶の場合は熱湯で淹れて香りを立たせた方が魅力をしっかりと味わえます。

(熱いので淹れた後、少し時間をおいて冷めてから飲むと良いですね)

 

また味もすっきりとして飲みやすさを感じます。

研究されたデータによると、蒸し製の煎茶よりもお湯の中に溶け出す成分の量が少ないようです…。

 

うま味は煎茶の方が感じますが、渋味が抑えられているため誰でも飲みやすいお茶でしょう!

べにふうきの釜炒り茶」がおすすめなのは、釜炒りで作ることにより苦味が抑えられるためなのです(^^)/

お茶の色は、澄んだ黄緑色・黄色になります。

粉のような茶葉はほとんど含まれていないため、濁りもほとんどありませんね!

 

澄んだキレイな色をしています(^^♪

 

まとめ

『釜炒り茶(釜炒り製玉緑茶)』は、茶葉を釜で炒ることにより作られるお茶になります。

日本のお茶の大半は蒸して作られることが多いため、釜炒り茶はちょっぴり特殊なお茶ですね。

 

釜で炒ることにより、香ばしさ・爽快感がある強い香りが『釜炒り茶』最大の特徴になります。

味も苦味をあまり感じることがないため、スッキリとしていて飲みやすいです

 

私自身も釜炒り茶はお気に入りなので、たまに購入し飲んでいます!

水筒に入れて飲むと、フタを空けた時に香りがフワッと漂ってくるのが何とも言えませんね(^^♪